TCFDへの対応

トヨタ紡織グループは「地球環境保護を重視した企業活動の推進」を基本理念に、持続可能な社会の実現に向け、トヨタ紡織グループ一体となって地球環境保護に貢献しています。
2016年に「2050年環境ビジョン」を策定し、2020年には「取引先とともに「ものづくり」の革新を図り、環境負荷のミニマム化を実現する」をマテリアリティ(本業を通じて優先的に取り組む重要課題)として特定し、環境へ配慮した取り組みを推進しています。
2020 年4月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しました。気候変動が事業に与える影響と、それによるリスクと機会をシナリオに基づいて広範に分析することで、それらの対応費用を整理し、経営戦略に反映しています。今後も、シナリオ分析の結果を踏まえ、リスクや機会への対応を強化していくとともに、さらなる情報開示に取り組んでいきます。

  • Task Force on Climate-related Financial Disclosures

ガバナンス

気候変動を含む環境問題に関する具体的な取り組み施策は、取締役会での意思決定を経て、経営戦略会議、経営企画会議、経営会議などで業務執行を行っています。
取締役会、経営戦略会議、経営企画会議で指示された環境問題への対応方針などは、年5回開催されるカーボンニュートラル環境推進会議で共有し、トヨタ紡織グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗管理につなげています。また、実行計画に基づくKPIを設定し、毎月の経営会議に報告し、マネジメントレビューを実施しています。
カーボンニュートラル環境推進会議で審議した内容は取締役会に報告し、取締役会の指示・監督のもと、戦略への反映を実施しています。

コーポレートガバナンス体制

戦略

気候関連のリスクと
機会のシナリオ分析

①シナリオ分析結果

国際エネルギー機関(IEA)による移行面で影響が顕在化する「1.5~2℃シナリオ※1」と、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による物理面で影響が顕在化する「4℃シナリオ※2」を踏まえ、短期・中期・長期のリスクと機会を抽出。
特にリスク・機会の評価が高いものを下表に記載。

  • 1.5℃シナリオ:NZE(IEA World Energy Outlook 2021)、2℃未満シナリオ:SDS(IEA World Energy Outlook 2021)
  • 4℃シナリオ:RCP8.5(IPCC第5次評価報告書)
  要因 リスク / 機会 評価 対応 対応費用※3
(2023年度)
移行リスク
(1.5~2℃シナリオ)
カーボンプライシングなど気候変動政策の強化
  • 炭素価格導入などによる調達コスト増加
リスク
リスク
  • サプライヤーに対する調査(CO2排出量、削減取り組みなど)、目標設定に向けた活動の推進
  • サプライヤーへの支援
    (省エネ事例の共有、新材料・新工法の共同開発、再エネの共同購入 など)
  • 炭素価格導入が直接的またはエネルギー価格として間接的に影響し、操業コストが増加
リスク
リスク
  • さらなる省エネにつながる高効率設備導入、新工法の開発推進
  • 再エネの導入推進
  • 物流の最適化(地産地消による輸送にともなうCO2削減)
45億円
  • 脱炭素化に向けた省エネ、再エネ投資による費用の増加
リスク
リスク
  • ICP(Internal Carbon Pricing)導入による投資の最適化
車の電動化促進施策の強化
  • トヨタグループ間連携をともなう新しい分野の事業拡大
機会
機会
  • 新たな事業領域の拡大・提供価値の多面化
13億円
  • 電動化対応製品の需要増加
機会
機会
  • さらなる電動化対応製品の企画・開発
29億円
顧客の評価、消費者の価値基準の変化(環境意識の向上など)
  • 低炭素化が不十分な製品の需要減少による売上減少
リスク
リスク
  • さらなる低炭素化に向けた製品の企画・開発
  • 植物由来製品、軽量化製品の企画・開発
  • リサイクル性向上、易解体設計の推進
32億円
  • 低炭素製品の開発による売上増加
  • 植物由来製品、軽量化製品の需要拡大
  • リサイクル性向上に向けた技術開発による競争力強化
機会
機会
物理リスク
(4℃シナリオ)
豪雨による洪水など、異常気象の深刻化
  • サプライチェーンの寸断が生産に影響し、売上減少
リスク
リスク
  • サプライヤー影響範囲管理システムを活用したリスク管理
  • 災害影響を最小化させる物流ルートの選定
  • 工場操業停止による売上減少
リスク
リスク
  • BCP体制の強化(マニュアル整備や情報収集・共有システムの構築)
  • 次期中期経営計画に応じて更新を⾏います

②重点取り組み

製品材料のサーキュラーエコノミーによるカーボンニュートラルへの挑戦

トヨタ紡織グループは製品のライフサイクルでのCO2排出量の削減を推進しています。
製品の軽量化や植物由来材料(バイオマス)の活用、電動化製品に対応した技術開発に加え、製品のリサイクル性向上も進めます。また、カーボンニュートラルに向け、製品に使われている材料のCO2排出量削減も進めていきます。

(1) 製品材料のCO2排出削減方策

製品材料のCO2排出削減方策

(2) サーキュラーエコノミーに向けた
取り組み

サーキュラーエコノミーに向けた取り組み

製品材料のリサイクルおよび
バイオマス活用により、
2050年 カーボンニュートラルに挑む

  • 製品を原料として再利用し、新たな製品にすること
  • 使用済製品を化学的に分解して製品の原料として再利用すること
  • 再生可能な生物由来の資源

リスク管理

カーボンニュートラル環境センターが気候変動にともなう外部環境の変化と内部環境の変化を全社的にモニタリングし、事業に影響を与えるリスクを洗い出しています。
気候関連リスクは、カーボンニュートラル環境推進会議の審議を経て、取締役会長や取締役社長も出席し、人事総務本部を担当するChief Human Resource Officer(CHRO)が議長を務めるリスク管理推進会議で特定します。リスク管理推進会議では、各部からの報告をもとに、気候変動に起因する「台風」「洪水」を含むあらゆるリスクについて議論します。他リスクとの関係の中で相対的に重要性を判断した上で、最終的に全社にとっての気候関連リスクを特定しています。
特定されたリスクはChief Risk Officer(CRO)のマネジメントのもと、取締役会へ報告しています。

リスクマネジメント体制

指標と目標

中期・長期目標

モニタリング指標

  • スコープ1、2のCO2排出量とエネルギー量(トヨタ紡織グループ)
  • スコープ3のCO2排出量(トヨタ紡織グループ)

2022年度実績