リスクマネジメント
基本姿勢
経営に関わるリスク、日常業務にともなうリスク、災害や事故などによるリスク、地球温暖化や水などの外部環境に起因するリスク、贈収賄・カルテル・横領・利益相反などの汚職に関するリスク、社会的レピュテーションリスク※などの重要なリスクに迅速に対応するため、リスクアセスメントを行い、マネジメント強化とリスク低減に努めています。
- 社会的な信頼を失うリスク
リスクマネジメント活動
Chief Risk Officer(CRO)を中心にグループのリスクマネジメント体制をグローバルに整備し、取締役会でリスク対応状況をモニタリングするなど、より実効性のあるリスクマネジメント活動を実施しています。
対応すべきリスクに対する備えを、事業・地域・コーポレート・各機能が一体となって推進し、リスクマネジメント活動のPDCAを回しています。トヨタ紡織でリスクを統合的に把握・管理し、トヨタ紡織グループでリスクを共有することで、未然防止や被害最小化に努めています。
2023年度のリスクマネジメントの取り組み
2023年度は、グローバルリスクマネジメント体制のもと、日本だけではなく、日本以外の国までリスクマネジメント活動が浸透するよう、情報展開・共有を行い、相互コミュニケーションの機会を増やし活動してきました。
また、BCPの実効性を高め、平時に継続的な改善を実現するしくみを構築するため、BCM(事業継続マネジメント)活動を推進しています。その他、定期的な避難訓練や対策本部立ち上げ訓練、安否確認ツールを使用した緊急連絡訓練、地域住民向けの備蓄品の整備などを行いました。
リスクマネジメントの体制図とその活動
マテリアリティに紐づくリスク評価項目(影響度)
マテリアリティ | 評価項目 |
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安定供給 |
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製品安全 |
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環境負荷 |
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労働安全 |
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コンプライアンス |
危機レベル
レベル | 対策本部長 |
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レベルA (重大危機) |
社長 (総合対策本部) |
レベルB (重要危機) |
当該リスクを主管する個別リスク主管部署、地域が属する本部の本部長 (対策プロジェクト) |
レベルC (個別対応危機) |
個別リスク主管部署部長、子会社社長 (対策チーム) |
危機対応体制(危機レベルAの場合)
2023年度重点リスクの主な取り組み
リスク | 2023年度の主な取り組み |
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地震 |
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サイバー攻撃 |
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カントリーリスク(紛争危機) |
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品質検査データの 改ざん、隠ぺい行為 |
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2024年度グローバル重点リスク
2023年度のリスク評価結果をもとに、2024年度のグローバル重点リスクを選定しました。
リスクマップ策定のプロセス
トヨタ紡織グループを取り巻くリスク環境より
① リスク主管部署がリスクを分析し、評価した結果
② 外部機関などが重要視しているリスク
③ トヨタ紡織グループ内で顕在化した危機発生情報
をもとに、CROを中心にグローバル重点リスクを選定(立案)し、リスク管理推進会議で協議のうえ、決定しました。
2024年度グローバル重点リスク4項目
- 地震
- サイバー攻撃
- 詐欺被害
- 品質・検査データの改ざん、隠ぺい行為
2024年度トヨタ紡織グループリスクマップ
リスク管理活動の理解やリスク感度向上を目的に、2021年度より、リスク主管部署、関係会社(日本内外)のリスクマネジメント担当者向けに、リスクマネジメント研修を実施しています。
2023年度は、感染症を題材に危機対応・訓練を検証する重要性と、プロジェクトマネジメントから学ぶリスクマネジメントの研修を実施しました。また、定期的にリスク管理ニュースレターを発行し、各種リスク事例を当社グループ内に共有し注意喚起を行っています。
機密管理と情報セキュリティ
機密情報の適切な管理が事業活動の重要な要素の一つと考え、当社グループ共通の方針である「情報セキュリティ基本方針」を制定し、グローバルに機密管理体制を整え、グループ一体となり組織的かつ継続的に情報セキュリティの強化に取り組んでいます。また、年に一度、当社と国内外連結子会社で連携して、セキュリティガイドラインを用いて情報セキュリティの取り組み状況の点検を実施することで、社内体制・ルール・教育、技術的な対策などの改善を行っており、グローバルで同じレベルのセキュリティ確保に努めています。さらに、しくみを整えるだけではなく、教育も重要と考え、e-Learning 研修や標的型メール訓練などを通した、社員のセキュリティ意識向上活動も定期的に実施しています。
なお、セキュリティガイドラインはISO 27001/27002、NIST(米国立標準技術研究所)サイバーセキュリティフレームワーク、経済産業省サイバーセキュリティ経営ガイドラインなどに基づいて構成されており、環境の変化にも対応できるよう定期的に見直しています。
また、機密管理規定や関連要領の更新、内部情報漏洩検知システムの導入により、機密情報漏洩リスクへの対策を行っています。
特に近年は、サプライチェーンのあらゆる部分で隙を生じさせないために、自社の対策だけでなく、グループ会社やサプライヤーのみなさまとの緊密な連携を重視しています。高度化・多様化するサイバー攻撃に対抗するため、専門知識を深化させ、機密管理や情報セキュリティの重要性、具体的な対策について積極的に説明・提案を行っています。
また、セキュリティ対策をより強固なものにするため、グループ会社やサプライヤーのみなさまと一丸となって、取り組みのレベルアップを図ります。今後も、サプライチェーン全体の安全・安心を徹底して守ることを最優先課題とし、活動を年々強化しながら、さらなる進化を目指します。
連結子会社とのセキュリティ活動推進のしくみ
機密管理の具体的な取り組み
●社員への教育
① 入社時、昇格時など階層別研修を実施(各教育 1回/年)
② イントラネットへの掲載、食堂での放映、個人用PC立ち上げ時の表示による啓発・注意喚起を実施(2回/月)
③ 機密管理強化月間を通じた啓発活動を実施(10月)
④ 役員を含む全社員を対象にe-Learning研修(2回/年)、標的型メール訓練(6回/年)を実施
●セキュリティガイドラインに沿った備え
① 組織的管理策(体制・ルールの整備など)
② 人的管理策(社員への教育、模擬訓練など)
③ 技術的管理策(不正アクセス/ウイルス対策、復旧対策、セキュリティ監視など)
④ 物理的管理策(入退室管理など)
⑤ 事件・事故発生時の対応体制の整備