人材育成
基本姿勢
トヨタ紡織グループは、「世界各地域で社員がいきいきと働き、多様な人材がトヨタ紡織に魅力を感じて集まっている」という姿の実現を目指しています。すべての社員が会社を「One Team」と感じ、誇りと夢を持って働き、仕事が楽しい、と感じることができる職場づくりを推進。すべての社員とともに企業価値向上という目標に向かって成長していきます。
グローバル人材戦略
全世界に多くの拠点を展開するトヨタ紡織グループにとって、成長戦略を実現する人材を確保し、配置、育成するための人材戦略は最重要な経営課題の一つです。2025年度を見据えた「グローバル中期要員計画」に沿って、事務・技術系、技能系、高度な専門性を持つ人材などの要員確保、人材配置と成長戦略との適合などを図り、事業展開を支えています。
また管理職以上は、職能と職務を融合し、それぞれのメリットを生かしたグローバル共通の人事制度(Global HRプラットフォーム)を活用してグローバル最適配置を実現し、人材育成を促進することで、グローバルにおける組織力の最大化を図っていきます。
Global HRプラットフォームの適用対象
Global HRプラットフォーム
2020年度から職能と職務に基づき処遇するハイブリッド型に改めました。職責が大きいポジションを担う場合、職能資格によらず高い処遇が受けられ、若手社員の抜擢など適材適所の人材登用を容易にし、新たな経営課題への対応力を高めました。
グローバルな管理職数の推移
年度※ | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 |
---|---|---|---|---|---|
Global HR Platform 適用者数(人) |
1,301 | 1,353 | 1,377 | 1,381 | 1,411 |
- 集計は翌年度の4月1日
適正な要員管理・組織づくり、人材育成
「トヨタ紡織グループの一人ひとりを育成し、能力を最大限に活用し、適正な組織・人員数で組織としての最大限の成果をあげる」。これらをねらったしくみの整備を行ってきました。特に、「適正な組織づくり」では、管理スパンガイドラインや組織テンプレートを用いて、日本以外の国や国内関係会社を含め、2020、2021年度の組織改定以降、継続的に組織の標準化と効率化を図ってきました。
また、2021年度は社長と若手社員との懇談会を実施し、社会環境の変化に対する会社の取り組みへの質問や、働きやすい環境を目指したヒアリングを実施しました。
現在は、これまでに整備した人材育成や登用、適正な組織づくりのしくみ、要員計画を継続・実行しながら、特に人材育成の面で次の2点に重点的に取り組んでいます。
一つ目に、業務分掌・ポスト要件・能力マップ・育成計画の個々のレベルアップとつながりの強化により、業務遂行に必要な能力が、しっかりと育成されるプロセスの確立。
二つ目に、部長、直属上司が育成プランやその方法を考え抜き、チャレンジングな業務を与え、職場先輩と一緒に育成を実行すること。
これらにより、メンバー一人ひとりが成長し、能力を最大限に発揮できるOJT文化の醸成を継続していきます。
また、GSCT※1、GSC※2での議論を通じた幹部候補者の地域を超えた登用や、グローバル幹部教育プログラム(GEDP※3、 GLDP※4)による育成などを行い、ダイバーシティを推進します。
- Global Succession Committee by Top Executives: CXO以上のメンバーによる経営幹部の後継者育成委員会
- Global Succession Committee:本部長・領域長以上のメンバーによるグローバル主要ポスト(拠点長・取締役・部長など)の後継者育成委員会
- Global Executive Development Program:中堅幹部職クラスを対象とした選抜教育
- Global Leader Development Program:基幹職から若手幹部職を対象とした選抜教育
技能系教育
技能育成センターでは、安全・品質・納期・原価をグローバルに高いレベルで達成できる人材の育成を目的に、知識教育・実践教育を通じ、職場力向上をサポートしています。
具体的には、技能修得制度の「安全・品質・TPS(トヨタ生産方式)・TPM※1」座学研修や、聴覚障がいを持つ技能者を対象とした手話通訳付きの安全体感道場などを実施しています。2021年度は、対面で実施する必要があるものとオンラインで実施可能なものを分別し対応しました。オンライン化の進展にともなって、グローバル展開も視野に入れ教育機会を拡充していきます。
- Total Productive Maintenance : 全員参加の生産保全
技能系教育の対象
育成体系
2021年度 技能員向け教育 受講実績
研修名 | 受講対象者 | 受講延べ人数 |
---|---|---|
技能員向け講座(34講座) | 技能系社員 | 130 |
技術員向け講座(4講座) | 事技系社員 | 15 |
資格認定教育(12講座) | 全社員 | 266 |
昇進昇格研修 | 新任工長 | 69 |
新任職長 | 205 | |
新任班長 | 394 | |
一般技能員 | 144 |
2021年度の技能検定合格者数
特級・・・0人
1級・・・16人
2級・・・22人
優秀技能者表彰
- 黄綬褒章(金属工作機械工):1人
- 愛知県優秀技能者表彰(あいちの名工):3人
- 文部科学大臣表彰 創意工夫功労者賞:8人
極めたものづくり技能
からくり
からくりとは現場にある困りごとや課題を、簡単なしくみを用いて、知恵と工夫で極力、人工エネルギーを使わず製作された装置です。当社では、からくり研修を実施し、からくり改善の風土を根付かせています。2021年度はオンラインで開催された「からくり改善®くふう展」にトヨタ紡織グループで6事例を出展、2事例が入賞し初の複数受賞となり、9年連続の入賞となりました。
また、2020年度から、からくり留学制度を発足しました。技能育成センターでは、現場の改善向上に向けた支援として現地現物でからくり改善教育を実施。工場から研修生を受け入れ、1年間のからくり留学を経て、自職場へ戻り、からくりを使った改善・アドバイス・職場を牽引できる、からくり改善の伝道師を育成しています。2021年度までに6人が留学を終え、すでに伝道師として職場で活躍しており、2022年度も5人の留学生が教育を受けており、今後は日本以外の国からの留学生の受入も実施していきます。
からくりを使用することにより、設備のエネルギーが削減され、カーボンニュートラル実現に向けての環境負荷低減にも大きく寄与しています。


オールトヨタ紡織 技能コンクール
2006年から続くオールトヨタ紡織技能コンクールを、2021年度は徹底した感染対策の中、工夫を凝らして開催しました。
初の試みとしてリモートで開催し、全世界の関係会社へライブ配信しました。また、種目の一つであるコマ大戦の時間対決部門では、メイン会場だけでなく、各工場や日本以外の事業体からもリモート参戦し、白熱した戦いが繰り広げられ、大いに盛り上がりました。
- コマ大戦のコマは、自身で創意と工夫を織り込んで設計し、材料や加工技術など技術の全てをつぎ込み製作しています。


















強い管理・監督者の育成
管理・監督者研修のグローバル展開を進めるとともに、変わりゆくものづくり現場を反映した基本技能研修や保全教育を、各地域の拠点で実地教育できる環境整備を推進しています。
保全力の強化
機械系、電気系、金型保全など、短期の技能専門講座やニーズに合わせた教育を活用し、保全力の向上に取り組んでいます。2018年度にアメリカに保全道場をつくったことで、アメリカの保全力は着実に向上。今後もグローバルに保全力強化を進めていきます。
安全行動できる人材育成
「安全体感道場」に、実際の災害を教訓とした「高所作業体感装置」を2018年度に導入し、転落事故防止を図っています。危険感受性を高め労働災害ゼロを目指し、災害の未然防止を図っています。2012年度の開講から、関係会社や外来工事業者、日本以外の地域を含め、受講者総数は1万人を超えました。
トヨタ紡織学園
心身・技能・知識のバランスが取れグローバルに活躍できる「核となる若手技能人材育成」を推進しています。毎年、カナダでの研修や他学園との交流を実施するなど、さまざまな経験を通し、職場で活躍できる社員を育成。日本だけでなく日本以外の地域事業体の若手社員も学んでおり、オールトヨタ紡織の人材育成を行っています。
技能五輪全国大会で連続入賞
2021年12月、東京ビッグサイトで開催された第59回技能五輪全国大会でトヨタ紡織学園所属の6人が3職種に出場し、メカトロニクス職種で2人が銀賞を獲得しました。2016年から国際大会を含め、6年連続で入賞を継続しています。

修了生の会「機紡の会」
トヨタ紡織学園設立5年目の2014年に、修了生の先輩後輩の縦の