人材育成
基本姿勢
多様な価値観とチャレンジ精神、チームワークを尊重し、世の中に貢献できる人を育てるための、人材育成・登用の基本的な考え方として、経営理念に基づいた「TB Wayコンピテンシー(求める人材像、職能基準)」を策定し、「戦略立案」「実行貫徹」「人材・組織力向上」「人間力」の4つの観点で、バランスよく能力を発揮できる人材の育成と登用をグローバルに行っています。
また、グローバルに共通の価値観を共有するためのTB Way、問題解決、OJT、方針管理の4つを、グローバルコアコンテンツとしてグローバルに教育を実施し、人材育成を行っています。
将来の経営を担う人材に対しては、グローバル幹部育成プログラム研修、日本以外の事業体の拠点長への育成配置などを実施しています。
また、登用では、360度評価・育成アセスメントを⾏い、人材の⾒極めをていねいに⾏った上で配置や昇格を実施し、人材育成委員会で、部⻑・海外の拠点⻑・機能トップポジションの後継者育成計画の議論を実施しています。
グローバル人材戦略
全世界に多くの拠点を展開するトヨタ紡織グループにとって、成長戦略を実現する人材を確保し、配置、育成するための人材戦略は最重要な経営課題の一つです。2025年度を見据えた「グローバル中期要員計画」に沿って、事務・技術系、技能系、高度な専門性を持つ人材などの要員確保、人材配置と成長戦略との適合などを図り、事業展開を支えています。
また管理職以上は、グローバル共通の人事制度(Global HRプラットフォーム)を活用してグローバル最適配置を実現し、人材育成を促進することで、グローバルにおける組織力の最大化を図っています。
Global HRプラットフォームの適用対象
グローバルな管理職数の推移
年度※ | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
---|---|---|---|---|---|
Global HR Platform 適用者数(人) |
1,377 | 1,381 | 1,411 | 1,427 | 1,476 |
- 集計は翌年度の4月1日
適正な要員管理・組織づくり、人材育成
「トヨタ紡織グループの一人ひとりを育成し、能力を最大限に活用し、適正な組織・人員数で組織としての最大限の成果をあげる」。これらをねらったしくみの整備を行ってきました。特に、「適正な組織づくり」では、管理スパンガイドラインや組織テンプレートを用いて、日本以外の国や国内関係会社を含め、2020年度の組織改定以降、継続的に組織の標準化と人材育成の強化を図ってきました。
また現在は、これまでに整備した人材育成や登用、適正な組織づくりのしくみ、要員計画を継続・実行しながら、特に人材育成の面で次の2点に重点的に取り組んでいます。
一つ目に、業務分掌・ポスト要件・能力マップ・育成計画の個々のレベルアップとつながりの強化により、業務遂行に必要な能力が、しっかりと育成されるプロセスの確立。
二つ目に、部長、直属上司が育成プランやその方法を考え抜き、チャレンジングな業務を与え、職場先輩と一緒に育成を実行すること。
これらにより、メンバー一人ひとりが成長し、能力を最大限に発揮できるOJT文化の醸成を継続していきます。
また、GSCT※1、GSC※2を開催し、幹部候補者の地域を超えた計画的な登用・配置を実施しています。さらに、2024年度からは、トヨタ紡織グループの将来を担う人材100人(NEXT100※3)を対象にグローバル幹部教育プログラム(GEDP※4、 GLDP※5)による育成を開始します。今後は、幹部育成につながる主任職クラスの優秀な人材を対象とした教育プログラムも導入を予定しています。
これらの施策を通し、経営幹部の計画的な育成を進めるとともに、ダイバーシティの推進(外国人・女性・若手の積極的な登用)を図っています。
- Global Succession Committee by Top Executives:チーフオフィサー以上のメンバーによる経営幹部の後継者育成委員会
- Global Succession Committee:本部長・領域長以上のメンバーによるグローバル主要ポスト(拠点長・取締役・部長など)の後継者育成委員会
- 当社グループを対象とした若年層育成強化のための重点対象者登録制度
- Global Executive Development Program:中堅幹部職クラスを対象とした選抜教育
- Global Leader Development Program:基幹職から若手幹部職を対象とした選抜教育
技能系教育
技能育成センターでは、安全・品質・納期・原価をグローバルに高いレベルで達成できる人材の育成を目的に、知識教育・実践教育を通じ、職場力向上をサポートしています。
ハンディキャップのある方、短時間勤務の方など、すべての社員が平等に研修を受講できるよう体制を整えています。
また、オンライン教育を充実させ、グローバル展開も強化しています。
技能系教育の対象
育成体系
2023年度 技能員向け教育 受講実績
研修名 | 講座内容 | 受講対象者 | 受講延べ人数 | 1人当り 平均受講時間 |
---|---|---|---|---|
技能専門講座(36講座) | シーケンス、油圧・空気圧制御、からくりなど | 技能系社員 | 240 | 16H |
基本技能研修(12講座) | 良品をつくり出す知識・技能、部下を育成するための指導方法 | 技能系社員 | 42 | 16H |
技術者向けモノづくり体験研修(6講座) | シート、ドアトリム、縫製、溶接など | 事技系社員 | 132 | 16H |
特別教育・資格認定教育(16講座) | 産業用ロボット教示、低圧電気取扱い、高所作業など | 全社員 | 939 | 8H |
昇進昇格者研修 | 製造監督者・ 安全・品質・TPS・TPM | 新任工長 | 138 | 32H |
新任職長 | 64 | 56H | ||
新任班長 | 151 | 64H | ||
一般技能員 | 247 | 24H |
2023年度の技能検定合格者数
特級・・・4人
1級・・・27人
2級・・・43人
優秀技能者表彰
- 愛知県優秀技能者表彰(あいちの名工):3人
- 文部科学大臣表彰 創意工夫功労者賞:5人
極めたモノづくり技能
からくり
目 的
からくりとは、現場にある困りごとや課題を簡単なしくみを用いて、知恵と工夫で極力、人工エネルギーを使わず製作された装置です。当社では、からくり研修を実施し、からくり改善の風土を根付かせ、人材育成に努めています。
育成度合いの確認
<からくり留学制度>
からくりを使った改善・アドバイスなど、各職場で推進できるよう、2020年から研修期間が1年間の「からくり留学制度」の受け入れを開始。2023年度は新たに日本内外の関係会社向けに、社員の個人能力向上を目的とした、研修期間が1ヵ月の「からくり改善士1ステップUP留学」を新設しグループ社員を受け入れて活動しています。
(2023年度からくり改善士1ステップUP留学受講者実績:国内関係会社4人、海外2人)
国内関係会社(トヨタ紡織東北/トヨタ紡織九州/トヨタ紡織滋賀)
日本以外の関係会社(トヨタ紡織インディアナ(アメリカ)/トヨタ紡織カナダ)
<からくり改善士認定制度>
2022年度からからくり改善士認定制度の運用を開始し、現在までに173人を認定しました。からくり装置製作能力や職場への貢献能力を評価することで、現場のモチベーション向上や人材育成につなげています。また、現場の作業時間短縮や、カーボンニュートラル実現に向けた環境負荷低減にも大きく寄与しています。
2023度は75人を認定しました。
からくり改善認定者数推移[トヨタ紡織グループ]
作業時間短縮(改善時間)推移[日本地域]
CO2削減量推移[日本地域]
CO2削減量推移[日本地域]
成 果
2023年度開催の「第28回全国からくり改善くふう展」で、トヨタ紡織グループで8事例を出展。そのうち1事例が入賞しました。
全国からくり改善くふう展
年度 | 受 賞 |
---|---|
2013年 | 優秀賞(全国2位) |
2014年 | 協会特別技術賞 |
2015年 | 最優秀賞(全国1位) |
2016年 | アイデア賞 |
2017年 | 努力賞 |
2018年 | 努力賞 |
2019年 | アイデア賞 |
2020年 | 手押し台車コンテスト(銀賞) |
2021年 | 定数・定量取出しコンテスト(金賞) 協会特別賞 |
2022年 | アイデア賞 |
2023年 | アイデア賞 |
11年連続受賞 更新中!
2023年度 アイデア賞受賞「重筋解消 羅苦楽(ラクラク)君」
オールトヨタ紡織技能コンクール
技能員の育成度合いを確認するため、オールトヨタ紡織技能コンクールを開催しました。
2023年度は4年ぶりにグローバルでの開催となりました。トヨタ紡織、日本国内の子会社・関連会社、日本以外の拠点から205人の選手が参加し、14職種で切磋琢磨しながら競技を行いました。
昨年同様、現地に来ることができない方にも熱い戦いを視聴してもらうため、全職種ライブ配信を行いました。
からくり職種では、日本以外の関係会社が初参加にして上位入賞を勝ち取りました。
技能コンクール開会式
技能コンクール競技
- コマ大戦のコマは、自身で創意と工夫を織り込んで設計し、材料や加工技術など技術の全てをつぎ込み製作しています。
強い管理・監督者の育成
モノづくり現場の第一線で活躍できる技能員、監督者を育成するために、階層別教育や技能教育を実施しています。グローバルに教育を推進する第一歩として、2023年度新たにトヨタ紡織アメリカ(TBA)で設立された技能育成部と生産拠点であるトヨタ紡織インディアナ(TBIN)が連携し、技能員の育成環境の整備を始めました。
まず始めに、「繰り返し訓練ができる」「定量的な評価ができる」「1人でも訓練ができる」の3つをコンセプトとして、シート組立訓練治具の整備と、カンコツどころの把握がしやすいビデオ形式のビジュアルマニュアルの導入を進め完成しました。現在は、新入社員の受入れ時や多能工化訓練に使われる道場へと進化しました。
次に、強い監督者の育成ができるよう教育体系の整備に入り、現地で一番の問題となっていたチームリーダー(班長級)に向けた教育に着手しました。
2024年度はTBINの育成体系の整備を完了させ、米州域へと拡大していきます。
保全力の強化
設備や金型の組立や保全業務に関わる技能員を対象に、現場の仕事の進め方の変化に合わせた講座を新設し、保全力向上に取り組んでいます。
2018年度に開設されたTBAのテクニカルスキルトレーニングセンターでは、講座の新設や新たな講師の育成などが進められています。今後、さらに変化するモノづくり環境に対応できる、保全部門の中心となる技能員の育成が求められています。協働ロボットや画像処理など新技術・新システムに対応できるスキルを兼ね備えた技能員が育成できるよう、生産技術部門と連携して新たな教育を開発していきます。
トヨタ紡織学園
心身・技能・知識のバランスが取れグローバルに活躍できる「核となる若手技能人材育成」を推進しています。毎年、カナダでの研修や他学園との交流を実施するなど、さまざまな経験を通し、職場で活躍できる社員を育成。日本だけでなく日本以外の地域事業体の若手社員も学んでおり、オールトヨタ紡織の人材育成を行っています。
技能五輪全国大会で金賞を含む連続入賞
将来、トヨタ紡織技能系職場のトップリーダーとして活躍できる人材の育成を目的に、技能五輪に取り組んでいます。
2023年11月、愛知県のスカイエキスポで開催された第61回技能五輪全国大会に、トヨタ紡織学園所属の12人が4職種に出場し、機械製図職種で金賞を受賞しました。さらに、メカトロニクス職種のAチーム2人が銀賞、プラスチック金型職種でも銀賞を獲得しました。機械製図は2024年9月に開催される第47回技能五輪国際大会に日本代表として出場し、世界の頂点を目指します。
修了生の会「機紡の会」
トヨタ紡織学園設立5年目の2014年に、修了生の先輩後輩の縦の