安全衛生

安全衛生基本理念・基本方針

「安全衛生基本方針」に基づいて、「社員の安全と健康はすべてに優先する」という企業風土を確立するために、労使が協力して安全衛生活動を展開・実施しています。また、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)に沿った安全衛生活動をグローバルに行っています。
さらに、火災や重大災害につながる「重点災害」の発生防止を最重要課題と位置づけています。このため、「止める・呼ぶ・待つ」や「4S5定」などの基本行動の遵守と、類似災害の再発防止を含む10項目の安全取り組みを体系化し、「2030年安全ロードマップ」として策定しました。本ロードマップに基づき、「重点災害ゼロ」の実現を目標に、継続的な安全活動を推進しています。

  • 5定とは定路・定量・定置・定名・定色のことを指し、4S(整理・整頓・清掃・清潔)のうち「整頓」を効果的に行うための手法を示したもの

安全衛生基本理念

安全な作業
確実な作業
熟練した作業
安全な作業は作業の入口である。
わたくしたちは、まずしっかりとこの入口を通りましょう。

安全衛生基本方針

安全をすべてに優先する企業風土を確立するために、我々は人々の安全と健康確保および環境保全ができない限り

  • 物を造ったり
  • 取り扱ったり
  • 輸送したり
  • 廃棄しない

ことを宣言し、次の基本原則に従って行動する。

豊田 周平

安全管理の理念

  • 生産を止めることを躊躇するな
  • 安全問題の解決なしに生産はあり得ない
  • 不休災害と言えども、ゼロでなければならない
  • 職場の根底に安全がある

安全衛生推進体制

トヨタ紡織グループでは、安全・衛生に関する目標を立案し、その達成状況を継続的に確認しています。これらの取り組みを通じて「安全で働きやすい職場環境」の構築を目指し、グループ全体で安全衛生推進体制を整えています。この体制のもと、生産本部長を議長とした「安全機能会議」を設置し、安全で働きやすい職場環境の構築に向けた活動を推進しています。同会議を通じて、方針の共有や必要な情報展開を行い、グローバルで同一水準の安全衛生マネジメントの実現を目指しています。

安全衛生推進体制

図:安全衛生推進体制

安全衛生活動指標

トヨタ紡織グループ負傷災害発生状況

項目 集計範囲 単位 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
全災害 トヨタ紡織グループ   95 134 115 109 110
トヨタ紡織 13 16 21 21 17
構内死亡災害 トヨタ紡織グループ 0 0 1 0 0

労働災害休業度数率※1

グラフ:労働災害休業度数率

労働災害強度率※3

グラフ:労働災害強度率
  • (死傷者数/延べ実労働時間数)× 1,000,000
  • 集計範囲:トヨタ紡織および日本内外連結子会社・関連会社67社
  • (延べ労働損失日数/延べ実労働時間数)× 1,000,000
  • (※1、3ともに対象は、トヨタ紡織グループ正社員、嘱託社員、準社員、パートタイマー、アルバイト、期間社員、研修生、社外応援者、実習者、派遣社員です)

安全表彰

トヨタ紡織と、日本国内外の関係会社を対象に、安全活動の成果を評価・表彰する制度を運用しています。
工場内の無災害継続期間や労働災害発生などの実績指標に加え、安全・健康活動の取り組みを総合的に評価し、段階的な審査を通じて優秀な事業体を選定しています。本制度により、グループ全体の安全意識の向上と継続的な改善活動の推進を図っています。

写真:安全健康賞の金賞を受賞したトヨタ紡織オートモーティブインディアの社員(右側3人)常に社員の安全と健康を最優先に行動する企業風土確立活動が評価されました
安全健康賞の金賞を受賞したトヨタ紡織オートモーティブインディアの社員(右側3人)
常に社員の安全と健康を最優先に行動する企業風土確立活動が評価されました

労働安全衛生マネジメントシステム活動の推進

「安全衛生基本方針」に基づき、「社員の安全と健康はすべてに優先する」という企業風土を確立するために、労使が協議して働く人の安全と健康を確保する快適な職場環境づくりを継続しています。
ISO45001規格要求事項およびOSHMSの法令要求事項に基づき、社内規定「トヨタ紡織OSHMS」を定め、グローバルの全拠点に適用された統一的な労働安全衛生マネジメントシステムを運用しています。また、OSHMSの運用状況については、全拠点を対象に年1回の自己評価を実施し、各拠点の実施状況や課題を把握しております。これにより、労働安全衛生上の問題や課題を把握しやすくするとともに、かつ人的資源や経済的資源を確保し、労働安全衛生の改善を継続的に実現し続けています。これらの取り組みの結果、2026年3月末時点において、日本国内外の生産拠点56拠点のうち16拠点でISO45001を取得しており、取得率は28.6%となっています。引き続き、労働安全衛生マネジメントの強化を通じて、安全を最優先とする風土のさらなる定着を図っていきます。

  • Occupational Safety and Health Management System:労働安全衛生マネジメントシステム

安全な職場環境づくり

リスクアセスメント(設備・化学物質・作業)を軸とした働く人にやさしい環境づくり

トヨタ紡織ではOSHMSの一環として、国の定める「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に基づき、設備・化学物質・作業の3つのリスクアセスメントを導入しています。これにより、工程設計の各フェーズで危険源を同定・対策し許容可能なリスクに低減するとともに、残留リスクに対して適切な管理的方策を実施しています。特に設備を新設する際は、生産技術・製造・保全・安全の各担当がメーカーに赴き、事前に実施した設備リスクアセスメントを元に設備を確認しながら、妥協しない安全対策に取り組んでいます。また、既存設備も、リスクアセスメントを定期的に実施しています。
3つのリスクアセスメントは当社社員だけでなく、協力業者や来客などが遭遇する危険源の特定にも活用しています。また、工程で使用されるすべての化学物質の有害性に対して、使用量や状況に応じ適切に健康障害予防を実施しています。

写真:実作業・作業要領書を確認しながらリスクアセスメントを実施
実作業・作業要領書を確認しながらリスクアセスメントを実施

安全・防火クロスチェック

重大災害につながる重点災害未然防止および火災防止を目的に、サプライヤーを含むトヨタ紡織グループ全社が一丸となって取り組んでいます。
その一環として、2025年度も各事業場トップによる安全・防火クロスチェックをグローバルで実施しました。
各事業体のトップが、自身の管轄外の事業体に赴き、4Sの状況や「止める・呼ぶ・待つ」の実践環境、設備の安全対策などを確認しています。

写真:クレーン作業の確認
クレーン作業の確認

機能部署によるグローバル安全防火点検

安全推進部の担当者がトヨタ紡織グループの各事業体に赴き、現地・現物で安全防火点検を実施しています。点検を通じて、設備不具合や不安全作業などを指摘し、各事業体における改善活動を推進しています。
2025年度は、米州地域12事業体、中国地域13事業体、アジア地域13事業体、欧州・アフリカ地域7事業体を対象に点検を実施しました。この活動を通じて、各事業体の防火・安全意識の向上と自主改善の促進を図るとともに、トヨタ紡織グループ全体の安全レベル向上と火災リスク低減につなげています。

写真:普段目の届かない梯子を安全点検
普段目の届かない梯子を安全点検
写真:食堂の防火点検
食堂の防火点検

安全な人づくり

安全な人づくりには、教育が重要と考えています。
重大災害(死亡災害)を絶対に起こさない安全な人づくり・職場づくりを推進するため、知識・技能習得の教育を充実させ、安全点検の実施、リスクアセスメント定着活動などグローバルな体制で取り組んでいます。

安全衛生に関する主な研修とその参加人数

教育名 教育内容 教育対象者 集計範囲 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
安全管理者研修 労働災害防止に必要な知識と実務力を習得 安全管理を担う責任者 トヨタ紡織 67 53 62 96 143
職長教育 安全衛生管理・指導力を習得 現場で作業員を指導・監督する職長 0 97 47 52 52

安全基本行動ができる人づくり

労働災害の未然防止に加え、社員のマナーやモラルを含むルールの遵守を徹底することで「当たり前のことを当たり前にできる文化」の定着を目指しています。この取り組みの一環として、トヨタグループ共通の「ポ・ケ・手・な・し活動」を継続的に実施しています。本活動では、「ポ・ケ・手・な・し」点検による声掛けや各部門長が率先して手本を見せるリーダー活動を通じて、相互に啓発し合える職場づくりを推進しています。

  • ポケットに手を入れて歩かない、携帯電話を操作しながら歩かない、など歩行中の災害防止のための5つの安全基本行動
写真:各部門長による啓発活動
各部門長による啓発活動
写真:安全基本行動に関する啓発メッセージを工場入り口の床面に掲示(寧波豊田紡織(中国))
安全基本行動に関する啓発メッセージを工場入り口の床面に掲示(寧波豊田紡織(中国))
写真:安全基本行動と遵守率に関する掲示(トヨタ紡織ゲートウェイ(タイランド))
安全基本行動と遵守率に関する掲示(トヨタ紡織ゲートウェイ(タイランド))

リスク回避ができる人づくり

従業員一人ひとりの危険に対する感受性を高めることを目的に、危険予知訓練を実施し、リスクを未然に回避できる人材育成に取り組んでいます。
その一環として、監督者が各職場の作業を選定したうえで危険予知訓練を実施し、メンバーが自職場のリスクを適切に予知できるよう、訓練の実施要領を定めて運用しています。
取り組みをさらに活性化させるため、危険予知マニュアル(動画)を整備するとともに、2025年度には現場KY大会を開催しました。トヨタ紡織の各工場から選出された5名で構成されるチームが参加し、定められたテーマに沿って危険予知を行い、抽出された危険ポイントやそれに対する回避方法を競い合いました。

  • Kiken Yochi:作業前に潜在的な危険要因を抽出し、事故防止に役立てる手法
写真:現場KY大会でのリスク抽出
現場KY大会でのリスク抽出
写真:現場KY大会でのリスク精査と対策案検討
現場KY大会でのリスク精査と対策案検討
写真:現場KY大会でのKY結果の報告
現場KY大会でのKY結果の報告
写真:優秀な成績をおさめたチームを表彰
優秀な成績をおさめたチームを表彰

安全実行館のリニューアル

2020年度より、過去の労働災害の背景や原因を「知り」、その対策について「考え」、未然防止のために一人ひとりが当事者意識を持って自ら「実行」できる人づくりの推進を目的として、ものづくり革新センターに「安全衛生環境実考館」を設立しました。「安全衛生環境実考館」では新入社員教育や昇格者教育などの階層別教育を行うとともに、日本の関係会社の方にも教育を受講いただき、災害発生防止と安全な人づくりを継続的に進めてきました。
2025年度からは、受講対象を拡大するとともに、名称を「安全実行館」とリニューアルしました。社内の安全担当者が講師となり、事務、技術、製造の3コースに分けて、それぞれの過去の被災事例や被災リスク、被災しないために遵守すべき事項を教育しています。被災リスクについては、危険を危険と感じることができる人材の育成を目指し、講師を含む教育の参加メンバー全員で危険予知を実施してどのようなリスクがあるか確認し合って進めています。
設立当初からの延べ人数で11,138人(トヨタ紡織10,331人、関係会社・取引先など807人)が受講しました。

受講者からの声

  • 重大な災害にもかかわらず、知らない災害が多くありました。怖さを強く実感するよい機会になりました
  • いろいろな資料を見て、気を引き締めないと大きなケガや事故が起こるかもしれないことを認識し、周りの人にも注意喚起することができました
  • 災害の恐ろしさが明確に示され、安全に対する心構えをしっかりと持つことができました

安全実行館のレイアウト

図:安全実行館のレイアウト
  • Kiken(危険)」「Yochi(予知)」「Training(訓練)」:作業に潜む危険性を事前に予知し、事故を未然に防ぐためのトレーニング
  • Safety Education Academy for Construction:外来工事教育アカデミー

外来者・外来工事の安全確保

トヨタ紡織では「何人たりとも構内では重大災害を発生させない」安全な工事管理を目指して、トヨタ紡織外来工事安全衛生協力会(47社)と一体となった活動を推進しています。これらの活動を通じて、トヨタ紡織グループ構内で作業する工事業者が、安全かつ安心して作業できる環境づくりに取り組んでいます。

トヨタ紡織外来工事安全衛生協力会組織図

図:トヨタ紡織外来工事安全衛生協力会組織図

外来工事パトロール

安全衛生事務局、トヨタ紡織外来工事安全衛生協力会、工事計画部署が三位一体となり、連携して活動を行っています。パトロールでは不安全行為の指摘だけでなく、困りごとを吸い上げ、工事業者によりよい環境を提供しています。

三位一体のパトロール活動

図:外来工事パトロール

外来工事立会者資格制度

外来工事には専門教育を受けた社内資格保持者が立会い、安全管理を行っています。

立会者教育(思い出し、振り返り教育)

目的:立会者の安全意識向上

効果:危険感受性を高め、工事業者への指摘、注意を促せる人材育成

例 :
  • 作業責任者の数は適切だったか?
  • リスクアセスメントで出されていた対策は適切か?
  • 保護具は適切な使い方をしているか?

外来工事教育アカデミー(SEAC)

当社の敷地内に来場される方や、工事業者の方も重大災害を発生させないための活動として、SEACを常設しています。
工事担当者が実際の現場と同じ機材を用いて工事環境を体感することで、自分ごととして事前にリスクを洗い出し、現場で不具合の改善ができるように訓練を行っています。
2023年度より関係会社にも対象を広げ、教育を実施しています。

受講者からの声

  • 実際の現場を見て指摘するような体験実習は少ないのでよい経験になりました
  • 自分だけでなく外注作業者の方などの安全も配慮しないといけないことを強く感じました
  • 実技があり、頭だけで考えるより理解がしやすく、ためになりました
写真:教育機材
教育機材
写真:タッチパネルモニターに教材を投影して現地現物で危険予知
タッチパネルモニターに教材を投影して現地現物で危険予知

5段階ツールボックスミーティング(TBM)の導入

工事中の変化点や、やりづらい作業による災害の防止を目的として、5段階TBMを導入しています。5段階TBMは、1日の工事スケジュールの中で5回(朝礼後、10時、昼食後、15時、作業終了後)ミーティングを行い、作業指示内容や危険要因の再確認を行うとともに、作業環境や状況の変化、作業員の健康状態の変化などを確認します。本導入により、工事中の変化やリスクの早期把握が可能となり、災害の未然防止と安全意識の向上につながっています。

5段階TBM

写真:5段階TBM

火災未然防止

過去の火災

2018年4月29日午後2時、堤工場で大規模な火災が発生し、地域の方々、取引先などのステークホルダーのみなさまに多大なご心配とご迷惑をお掛けしました。毎年4月29日を「トヨタ紡織グループ 防火の日」とし、このようなことを二度と発生させないよう、社員一人ひとりの意識と行動につながる活動をグローバルに展開しています。

写真:防火の日ポスター
写真:防火の日ポスター
防火の日ポスター

安全・防火クロスチェックと再発防止活動

事業場や製品の担当をまたぎ、新しい視点で互いの工程を確認する、安全・防火クロスチェックを継続的に実施しています。また、グループ会社での再発防止を目的として、重点災害や火災が発生した事業体から中継を行い、発生状況や対策の要点をトヨタ紡織グループ全体で共有しています。さらに、出火により焼損した物品を安全実行館に展示し、火災リスクの認識向上に取り組んでいます。

写真:焼損した蛍光灯を展示
焼損した蛍光灯を展示
写真:焼損した試験設備のドアを展示
焼損した試験設備のドアを展示
写真:焼損した配線や機器を展示
焼損した配線や機器を展示

消火器訓練

安全実行館の火災ゾーンでは、過去の火災事例や火災発生メカニズムを理解したうえで、初期消火の実践的な訓練を行ことができる環境を整えています。火災の状況に応じた適切な消火器の選択と操作方法を習得し、過去の初期消火事例の課題を学ぶことで、社員が有事に迅速かつ適切に対応できる体制の強化につなげています。また、火災発生直後の初動対応を担う初期消火班には消火栓を実際に使用する体験をしてもらい、迅速な初期消火ができる訓練をしています。

写真:グラインダー火花からの出火模擬
グラインダー火花からの出火模擬
写真:適切な消火器選択のための展示
適切な消火器選択のための展示
写真:適切な消火器操作方法についての実施指導
適切な消火器操作方法についての実施指導
写真:消火班メンバーの消火訓練
消火班メンバーの消火訓練

防火に関するグローバル標準の整備

国や地域ごとに消防関係法令の違いもある中で、グローバルに同じ目線で防火活動を行うことが重要だと考えています。そのため、過去の発火事例をもとに、危険物管理や火災報知機管理などに関してのグローバル標準を策定しました。また、グローバル標準をもとに防火点検チェックシートを作成し、トヨタ紡織グループ全体で防火点検を行っています。