健康

健康経営基本方針・目的

社員の健康増進を経営課題の一つと捉え、中長期的に健康増進活動を推進していくため、2019年に「トヨタ紡織 健康宣言」を策定し、2022年に改訂しました。
社員が心身ともに健康でいきいきと働くことができる会社づくりを、労使一体となって進めていきます。

写真:健康経営基本方針・目的

健康経営推進体制

CEOを最高責任者とし、推進部署である安全健康推進部、人材戦略部、経営企画部、健康保険組合が定期的なミーティングを実施しながら、健康経営を推進しています。
各部に「健康活動推進員」を配置し、定期的なミーティングを実施し、健康活動を全社でより活性化する体制を整えました。安全・健康機能会議やコロナ対策会議では、日本以外の事業体や関係会社とも健康経営推進の情報を共有して健康意識の向上につなげるとともに、労働組合や外部機関との連携も強化しています。

図:健康経営推進体制
  • Employee Assistance Program:生産性に影響をもたらす課題の解決を支援

健康経営の戦略

健康経営の戦略マップ

当社の健康課題として、肥満率、喫煙率、運動習慣、睡眠に対する対策が必要と考えています。さらに健診データ、ストレスチェック結果のクロス分析から、20代からの運動習慣、食生活の改善が重要であり、プレゼンティズムには、「睡眠」「ストレス」の改善が重要とわかりました。
分析結果をもとに戦略マップを作成し、活動を推進していきます。

図:健康経営の戦略マップ
  • データ確認先
  • ストレスチェック・モラルサーベイ・いきいきKPI 結果
  • 健診時の問診・アンケート結果

ワークエンゲージメント(偏差値)[トヨタ紡織]

年度 2018 2019 2020 2021 2022
ワークエンゲージメント
(偏差値)
46 47 47 48.1 48.1
回答人数(人) 8,791 8,927 9,088 8,779 8,736
回答率(%) 95.8 96.5 95.5 94.1 95.0

社員の会社に対する愛着心や思い入れのこと。50が平均で、数値が高いほどよりよい結果を示している。2025年度までに偏差値50を目指しています。

プレゼンティズム(生産性損失割合)[トヨタ紡織]

年度 2018 2019 2020 2021 2022
プレゼンティズム
(生産性損失割合)
37.9 37.3
回答人数(人) 8,734 8,703
回答率(%) 93.7 94.6

  • 2021年度より集計開始

WHO-HPQ (Health and Work Performance Questionnaire)絶対的プレゼンティズムで測定。健康の問題を抱えながら業務を行うため、100%の能力が発揮できず、生産性のロスが発生している状態のこと。2025年度までに35%以下を目指しています。

アブセンティズム(傷病による欠勤)[トヨタ紡織]

2018 2019 2020 2021 2022
アブセンティズム(日) 3.1 2.7 2.7 2.7 2.8

  • 傷病による休務の全従業員平均日数

健康リテラシー向上の取り組み

◆健康チャレンジ8の活用

トヨタ紡織では、社員一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できる状態を目指し、生産性や心身の健康に影響を与える可能性がある8項目を「健康チャレンジ8」と定義し、健康チャレンジ8実践数5を目標としています。健康チャレンジ8の取り組みをきっかけに、社員一人ひとりが自分に必要な健康への取り組みを考え行動できる力(健康リテラシー)を向上させていくことで、生産性の向上・健康リスクの低減を目指しています。

〈健康チャレンジ8の8項目〉

① BMI ② 朝食 ③ 飲酒 ④ 間食
25未満 毎日食べる 飲まない、
または1合/日まで
夕食後、寝るまでの間食が
週2日以下
⑤ 禁煙 ⑥ 運動 ⑦ 睡眠 ⑧ ストレス
喫煙しない 1日30分以上の運動を
週1日以上
熟睡できている 多い方ではない

健康チャレンジ8実践数の推移

年度 2021 2022
実践数 4.52 4.85

健康診断結果×健康チャレンジ8実践数

グラフ:健康診断結果×健康チャレンジ8実践数

健康チャレンジ8の実践数別プレゼンティズム損失割合

グラフ:健康チャレンジ8の実践数別プレゼンティズム損失割合

健康活動推進員との連携

各部に配置された健康活動推進員が中心となり、職場主体活動を実施しました。事務技術部門の職場主体活動では、産業保健スタッフが作成したいろいろな健康講話から、自部署に合った講話内容と、参加方法を選択し、聴講いただきました。製造部門では、健康講話を要約した資料をミーティングなどを通して展開しました。実施後は部内でディスカッションを行い、健康意識を高めていただく機会につなげています。
また、健康ポータルサイト(PepUp)を活用した部署別ウォーキングイベントなどを企画し、部署ごとに切磋琢磨し、運動に取り組める活動も実施しました。
今後も、職場内で楽しみながら取り組める健康活動を実施していきます。

写真:WALKING RALLY

健康経営の取り組みと健康文化の定着

健康経営優良法人(ホワイト500)の認定取得

社員一人ひとりが心身ともに健康で幸福であり、最大限のパフォーマンスを発揮できることを目標に、労使一体となって心身両面から健康サポートを行っています。
これらの活動が評価され、昨年に引き続き2023年度「健康経営優良法人2024ホワイト500」に認定されました。
なお、グループ会社も取り組みを推進することで、健康経営優良法人の大規模法人としてアラコ、トヨタ紡織九州、トヨタ紡織東北、中小規模法人として、トヨタ紡織滋賀、TBソーテック東北、TBカワシマ、TBエンジニアリング、TBコーポレートサービス、TBテクノグリーン、TBロジスティクス、トヨタ紡織健康保険組合が認定を取得しています。

マーク:健康経営優良法人の認定取得

体の健康づくり

全社員の健康診断実施

トヨタ紡織グループは、各国の法令義務の有無に関わらず、全拠点で健康診断を実施しています。法定健康診断は、受診率100%を継続しています。
今後も、健康啓発活動、保健室や職場でのフォローなどを継続し、各拠点が自主的に実施している健康診断も受診率100%を目指します。

法定健康診断受診率[トヨタ紡織グループ]

年度 2018 2019 2020 2021 2022
健康診断受診率(%) 100 100 100 100 100

健康診断後の精密検査受診率[トヨタ紡織]

年度 2018 2019 2020 2021 2022
健康診断後の
精密検査受診率(%)
82.4 94.7 84.4 87.0 91.3

  • 精密検査受診者には保健指導を実施(100%)

健康診断結果を踏まえた高血圧の治療状況[トヨタ紡織]

年度 2018 2019 2020 2021 2022
血圧コントロール率(%) 30.7 27.8 21.0 40.2 58.7

  • 高血圧だが、治療で血圧が140/90mmHg未満にコントロールされている社員の割合
  • 血圧コントロール率= 高血圧治療中で血圧がコントロールされている人数 高血圧治療中の人数+高血圧だが未治療の人数

特定保健指導の取り組み

ハイリスク者対応として、特定保健指導を重要な施策と捉えています。2022年度は、特定保健指導の実施者数を増やし、対象者1,407人中、871人(61.9%)に対し、特定保健指導を実施しました。2023年度は社内健康診断当日に特定保健指導を実施し、年間通じて特定保健指導を実施できる体制を検討しています。今後も、健康保険組合と連携し、社内外での特定保健指導実施者数を増やすとともに、内容の充実にも取り組んでいきます。

  • 40歳以上で、生活習慣病の発症リスクが高いものの、生活習慣の改善による予防効果が期待できる方を対象とした指導

28歳健康セミナー(ターゲットセミナー)

健康診断結果や、問診内容を分析したところ、20代から運動頻度の減少や、朝食の摂食割合が低下するなど、運動や食生活の乱れが表面化していることがわかりました。20代から健康リテラシーを向上させるとともに、生活習慣改善、体重管理の取り組みを進めるため、28歳をターゲットとした健康セミナ―を2022年度から開始しました。
参加人数:157人(95.2%)

写真:会議室や自宅からリモートで参加
会議室や自宅からリモートで参加

35歳健康セミナー(ターゲットセミナー)

健康リテラシーの向上や、運動習慣の減少、体重増加のターニングポイントとして、35歳の社員を対象に健康セミナーを実施しています。
セミナー前に体力診断セルフテストを実施し、個人へ結果表を配付しました。その後、柔軟性やスタミナが乏しいというセルフテストの結果に基づき、社外のインストラクターによる講義や運動の実技指導が行われました。3か月後に、セミナー後の運動習慣と意識の変化を確認し、運動の継続を支援しています。
参加人数:222人(96.1%)

女性健康セミナー

乳がんや更年期障害など、女性に多い病気への支援活動や、女性のホルモンバランスにあった対処法を学ぶセミナーを開催しています。社外講師による女性特有の健康課題の解消と、「より快適なコンディションで過ごし、生活の質を向上させたい」という女性社員のニーズに沿った内容となっています。コロナ禍のためウェブ上での参加が中心でしたが、見逃し配信も行うことで、多くの女性の参加が可能となりました。参加者アンケートでは、「ポジティブな気持ちになれた」「楽しく体を動かすことができた」といった前向きな意見をたくさんいただきました。
2022年度 当日参加:68人 見逃し配信視聴回数:462回

写真:女性健康セミナー

睡眠セミナー

当社の特徴として、プレゼンティズムに睡眠の状況が関わっていることが示されています。2022年度より睡眠に関するセミナーを開催し、社員の睡眠の確保と質の向上に対する取り組みを始めました。セミナーでは「夜中に目が覚めてしまった時の対処法は?」「起きた時にだるい、疲れが取れていない」といったたくさんの質問や悩みが寄せられ、社員の睡眠に関する興味の高さを感じました。今後も睡眠に関する取り組みを継続していきます。
2022年度 当日参加:288人 見逃し配信視聴回数:244回

写真:睡眠セミナー

フィットネス動画付き健康コラム配信

社員からコロナ禍による体重増加、健康診断結果の悪化、不安感増大などの相談があり、活動量の低下を改善したいとの声がありました。そこで、社内イントラネットでの健康コラムの継続配信と、フィットネス動画の配信を充実させました。のべ閲覧者は1,000人/月で、社員の興味、関心の高さがうかがえます。
感染状況や働き方に合わせ、オンラインや集合などさまざまな形式のセミナー開催を継続していきます。また、新たな健康コラムも追加し、配信を継続していきます。

写真:QRコードを読み取り動画を視聴(RIZAP提供)
QRコードを読み取り動画を視聴(RIZAP提供)

スマートフォンを使用した健康管理

PepUpという健康ポータルサイト(アプリ)を活用して、健康活動を応援しています。
2022年度は、健康チャレンジ8に関連するクイズや、部署対抗ウォーキングラリーなどのイベントをPepUp上で開催し、インセンティブ制度を利用して参加を促進しています。
2023年3月時点の登録者数は4,246人(登録率46.3% 前年比1,017人増)となっています。今後も楽しみながら参加できるイベントを企画し、登録者を増やしながら、社員の健康リテラシー向上の取り組みの一つとして活用していきます。

写真:スマートフォンを使用した健康管理

健康チャレンジ8の取り組みと、特定保健指導体制の強化

2012年以降、BMI25以上(肥満)の割合が上昇し続けていましたが、2021年度、8年ぶりに減少に転じました。
BMI変化者268人(BMI25以上→25未満に変化)は、健康チャレンジ8実践項目の「運動」「間食」によい変化が見られました。特にBMI変化が大きかった69人(体重が5kg以上変化)は健康チャレンジ8の実践数が3.87→4.58と改善しており、分布を確認すると実践数4以下が減り5以上が増えるなど、実践数5を目指すことの有効性が改めて証明されました。
加えて、健康診断の総合判定も「再検査または要治療」が半減し、「問題なし」が増える変化も確認できました。これらの結果は、プレゼンティズム、アブセンティズム改善につながる変化であり、生活習慣の改善がBMI改善につながり、健康リスク軽減に結びついたと考えられます。
また、BMI変化者268人のうち、40歳以上の方の特定保健指導の実施割合は16.2%で、特にBMI変化が大きかった方は、25%が特定保健指導を実施していました。
2022年度以降は特定保健指導実施者数を増やし対応しています。今後も特定保健指導実施率と質の向上を行い、効果を確認していきます。
今後も生活習慣改善のきっかけとなる健康チャレンジ8の取り組みと、特定保健指導の充実をさせることで社員のパフォーマンス向上を目指します。

  • 40歳以上で、生活習慣病の発症リスクが高いものの、生活習慣の改善による予防効果が 期待できる方を対象とした指導

BMI25以上の社員割合の推移

グラフ:BMI25以上の社員割合の推移

禁煙活動

トヨタ紡織の喫煙率は、年々減少しており、2022年度の喫煙率は29.6%と初めて30%を下回ったものの、全国平均(2020年:16.7%)に比べ、依然高い状況にあります。将来的な疾病につながり得るリスクととらえ、社員とそのご家族、周りの人々の健康を守るため、2008年のたばこ社内販売廃止に始まり、3回/月の非喫煙デーの設定、禁煙補助薬の購入補助や、禁煙外来受診補助など、喫煙率低下に向けた禁煙支援活動を継続的に実施してきました。禁煙成功者からは「モチベーション維持に役立った」などの意見をいただいています。
2022年度は2023年4月からの敷地内全面禁煙化に向け、社員への周知・理解活動、禁煙サポート利用促進を積極的に行い、4月からの敷地内全面禁煙を迎えました。禁煙補助薬補助の利用者は例年に比べ10倍以上に増加しており、敷地内禁煙化をよい機会ととらえ、卒煙した方、禁煙にチャレンジしている方も多くみられることから、来年度以降、さらなる喫煙率の低減が見込まれます。

喫煙率[トヨタ紡織]

グラフ:喫煙率[トヨタ紡織]

心の健康づくり

メンタルヘルス活動の取り組み

トヨタ紡織では、新入社員や入社2年目、中途1年目など、生活の変化にともなうメンタル不調を予防する目的で、セルフケア教育を行っています。また新任管理・監督者教育、階層別教育などラインケア教育にも力を入れています。
メンタル不調者に対しては、産業医や産業保健スタッフと人材戦略部が連携し、復職に対する支援を行っています。
ストレスチェックは年に1度実施し、高ストレス者に対し、外部機関と連携した面談や相談対応など、メンタルヘルス不調の未然防止に取り組んでいます。また、組織のストレスチェック結果から対象部署を選定し、社内の産業保健スタッフと外部機関が連携し、ラインケア支援も行っています。
新型コロナウイルス感染症の影響による働き方や生活様式の変化が、メンタルヘルスに及ぼす影響も少なくありません。相談窓口の充実など他部門と連携しながら、今後も傾聴と寄り添いの姿勢で社員への支援を継続していきます。

ストレスチェック回答率[トヨタ紡織]

年度 2018 2019 2020 2021 2022
ストレスチェック回答率(%) 95.8 96.5 95.5 94.1 95.0

ストレス反応の推移(偏差値)[トヨタ紡織]

年度 2018 2019 2020 2021 2022
ストレス反応の推移 54 54 55 49.1 49.3

数値が高いほどよい結果を示し、50が平均で、数値が高いほどよりよい結果を示しています。2021年度より外部委託機関の基準見直しにより評価が厳しくなりました。

高ストレス者割合[トヨタ紡織]

年度 2018 2019 2020 2021 2022
高ストレス者割合(%) 5.4 5.2 4.3 5.2 5.1

感染症対策

これまでも新型インフルエンザやSARSなどの感染症の流行がありました。また、新型コロナウイルス感染症を含め、トヨタ紡織グループはその都度対策を講じて乗り越えてきました。
社員が感染しないよう、今後も継続して予防・対策することで、地域やトヨタ紡織グループ内で感染症が蔓延しないよう努めます。また、関係会社・仕入先とは、感染拡大時の生産影響を最小限にすべく、感染者数を共有しています。今後も、各社と強固に連携するとともに、感染拡大時の援助を継続実施していきます。
さらに、三大感染症(HIV/AIDS、結核、マラリア)など、地球規模の健康問題への対応の重要性を認識しています。トヨタ紡織では、海外赴任する社員とその家族には、赴任地域の感染症情報提供や予防接種の実施などを行っています。