TCFD※への対応
トヨタ紡織グループは「地球環境保護を重視した企業活動の推進」を基本理念に掲げ、持続可能な社会の実現に向けてグループ一体となり、地球環境保護に貢献しています。
2016年度に「2050年環境ビジョン」を策定、2020年度には「取引先とともに『ものづくり』の革新を図り、環境負荷のミニマム化を実現する」をマテリアリティ(本業を通じて優先的に取り組む重要課題)として特定し、環境へ配慮した取り組みを推進しています。なお、「2050年環境ビジョン」は、社会動向を踏まえ、2023年度に一部を見直しました。
そして、2020年4月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しました。気候変動が事業に与える影響と、それによるリスクと機会をシナリオに基づいて広範に分析し、対応に必要な費用を整理したうえで、対応策を経営戦略に反映しています。今後も、シナリオ分析の結果を踏まえ、リスクや機会への対応を強化していくとともに、さらなる情報開示に取り組んでいきます。
- Task Force on Climate-related Financial Disclosures
ガバナンス
気候変動を含む環境問題に関する具体的な施策は、取締役会での意思決定を経て業務執行し、経営戦略会議、経営企画会議、経営会議などに進捗を報告しています。
取締役会、経営戦略会議、経営企画会議で決議・議論した環境問題への対応方針などは、年3回開催される環境推進会議で共有し、トヨタ紡織グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗管理につなげています。また、実行計画に基づくKPIを設定し、毎月の経営会議に報告し、マネジメントレビューを実施しています。
環境推進会議で報告・議論した内容は、必要に応じて取締役会に報告し、取締役会の決議・監督のもと、戦略へ反映しています。
戦略
気候関連のリスクと
機会のシナリオ分析
1.シナリオ分析結果
国際エネルギー機関(IEA)による低炭素社会への移行で影響が顕在化する「1.5~2℃シナリオ※1」と、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による物理面で影響が顕在化する「4℃シナリオ※2」を踏まえ、短期・中期・長期のリスクと機会を抽出。
特にリスク・機会の評価が高いものを下表に記載。
- 1.5℃シナリオ:2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出を実質ゼロにするためのシナリオ(Net Zero Emissions)(IEA World Energy Outlook 2021)、2℃未満シナリオ:2100年までの気温上昇を2℃未満に抑えるためのシナリオ(Sustainable Development Scenario)(IEA World Energy Outlook 2021)
- 4℃シナリオ:代表的濃度経路(RCP: Representative Concentration Pathways)のうち、最もGHG排出量が多く、2100年に気温上昇が約4℃となるシナリオ(RCP8.5)(IPCC第5次評価報告書)
要因 | リスク / 機会 | 評価 | 対応 | 対応費用(2024年度) | |
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移行リスク (1.5~2℃シナリオ) |
カーボンプライシングなど気候変動政策の強化 |
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― |
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22億円 | ||
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車の電動化促進施策の強化 |
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10億円 | |
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27億円 | ||
お客さまの評価、消費者の価値基準の変化(環境意識の向上など) |
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17億円 | |
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物理リスク (4℃シナリオ) |
豪雨による洪水など、異常気象の深刻化 |
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― |
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3億円 |
- Business Continuity Plan:事業継続計画
2.重点取り組み
製品材料のサーキュラーエコノミー推進によるカーボンニュートラルへの挑戦
トヨタ紡織グループは製品のライフサイクルでのGHG排出量の削減を推進しています。
製品の軽量化や植物由来材料(バイオマス)の活用、電動化製品に対応した技術開発に加え、製品のリサイクル性向上も進めています。また、カーボンニュートラルの実現に向け、製品に使われている材料のGHG排出量削減も進めていきます。
1)製品材料のGHG排出削減方策
2)サーキュラーエコノミー実現に
向けた取り組み
製品材料のリサイクルおよび
バイオマス活用により、
2050年 カーボンニュートラルに挑む
- 製品を原料として再利用し、新たな製品にすること
- 使用済製品を化学的に分解して製品の原料として再利用すること
リスク管理
カーボンニュートラル環境センターがトヨタ紡織グループ全体の気候変動にともなう外部環境の変化と内部環境の変化をモニタリングし、事業に影響を与えるリスクを洗い出しています。
気候関連リスクは、人事総務本部を担当するCHRO(Chief Human Resource Officer)が議長を務めるリスク管理推進会議で選定します。リスク管理推進会議では、カーボンニュートラル環境センターを含む各部からの報告をもとに、気候変動に起因する「台風」「洪水」を含むあらゆるリスクについて議論し、相対的に重要性を判断したうえで、最終的にトヨタ紡織グループにとっての気候関連リスクを選定しています。
選定されたリスクは取締役社長であるCRO(Chief Risk Officer)のマネジメントのもと、取締役会へ報告しています。
指標と目標
中期・長期目標
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2025年環境取り組みプラン
工場CO2排出量2019年度比 ▲25% -
2030年目標
工場GHG排出量2019年度比 ▲50% -
2035年チャレンジ目標
工場GHG排出量2019年度比 ▲100% を目指す -
2050年環境ビジョン
ライフサイクルGHGネットゼロ
工場GHGネットゼロ
モニタリング指標
- Scope1、2のGHG排出量とエネルギー使用量(トヨタ紡織グループ)
- Scope3のGHG排出量(トヨタ紡織グループ)
2024年度実績