環境マネジメント

基本的な考え方

トヨタ紡織グループは、世界各地域で環境関連の会議・委員会を開催し、環境活動の進捗確認や、改善事例の現地現物での確認、優秀活動の積極的な横展開など、継続的に活動を実施しています。また、環境保全活動を目的とする社内外への教育も実施しています。

環境マネジメント推進

カーボンニュートラル実現に向けた取り組みをより一層推進するため、2023年4月にCCNO(Chief Carbon Neutral Officer)を新たに配置しました。日本地域の各ワーキンググループや日本以外の各地域と連携し、2050年環境ビジョンの実現に向けて活動を推進しています。

環境マネジメント推進体制

図:環境マネジメント推進体制
  • Carbon Neutral
  • Life Cycle Assessment
  • Circular Economy
  • Supply Chain Management

2050年環境ビジョン

環境推進会議

トヨタ紡織グループの環境ビジョン実現に向けた取り組みを共有、目標設定・フォローを実施し、グローバルで推進することを目的としています。
参加メンバー:取締役社長を含めた全チーフオフィサー
開催頻度:3回/年
主な議題:環境取り組みプランの目標を達成するための方向性とアクションプランの展開、進捗確認

1. バリューチェーンでのGHG排出量削減などの課題と取り組みの方向性
2. 省エネ、再エネ、カーボンオフセット、排出量管理など、戦略に基づいたアクションプラン

  • Greenhouse Gas:温室効果ガス

地域別委員会活動

各地域委員会では、環境推進会議と連携し、2025年環境取り組みプラン目標の達成に向けて活動を推進しています。
なお、環境活動は、次の4つを重点活動としています。
1. 異常・苦情ゼロ活動
2. ISO14001認証活動
3. 工場化学物質管理活動
4. 環境負荷物質の低減活動

国・地域ごとに抱える環境問題はそれぞれ異なりますが、トヨタ紡織グループとして活動の水準を高く設定し、各委員会で管理・推進できるようにしています。

  • 異常:法律・条例・協定の基準値を超えた場合や公共水域へ油などを流出させた場合
    苦情:周辺住民・行政などから連絡があり、当社に原因がある事象で、かつ物理的被害、精神的影響がある場合

法規制遵守への取り組み/環境異常

環境に関する法規制値より厳しい自主基準値を設定し、遵守状況を管理することにより、環境事故・汚染を未然防止しています。また、地域のみなさまの視点を大切にしたリスクマネジメントを実施しています。その方法が環境リスクマップの活用です。環境リスクマップとは、工場周辺および敷地内におけるリスクを見える化したもので、パトロール基準の強化や環境パトロールのツールとして活用しています。各工場の担当者は常に最新情報を把握し、慎重にリスクを見える化してリスクマップに織り込み、パトロールを実施しています。
2024年度は、トヨタ紡織グループで環境事故・違反や異常はありませんでした。

ISO14001

トヨタ紡織グループは、2018年度までに2015年版ISO14001に移行を完了しました。2024年度も各拠点で内部監査を実施、外部審査を受審し、ISO14001活動を完了しています。

外部審査

2024年度も計画的に、各国・地域の審査登録機関による審査を受け、すべての対象工場で「不適合はなく、ISO14001の要求事項を適切に運用している」と評価を受けました。

日本地域 ISO14001認証取得状況(2024年度)

日本以外の地域 ISO14001認証取得状況(2024年度)

環境リスクマネジメント

化学物質管理体制の構築

開発・設計から生産・梱包までの一連の事業活動における化学物質管理を徹底しています。

管理対象一覧

管理対象 製品 梱包、
包装資材
作業環境
周辺環境
開発・設計 号口製品
資材分類 図面指示あり

部品

外製部品
設計図面 写真:号口製品    
原材料

環境などへの影響なし
(個体のまま使用)

表皮材 など
   

環境などへの影響あり
(使用にともなう性状変化、
副生成物発生あり)

接着剤 など
 
図面指示なし 副資材

製品混入の可能性、
製品付帯あり

補修用塗料 など
   

製品混入の可能性、
製品付帯なし

設備用洗浄剤 など
     

梱包・包装資材
(補給・日本以外の国向け)

ダンボール など
    梱包・包装資材  

化学物質の排出量削減活動

トヨタ紡織グループでは、生産工程で使用する化学物質について、作業者の安全・健康面、地球環境への影響から規制されている、または今後規制される可能性があるものを「トヨタ紡織管理物質」としてリスト化しています。また、そのうち、製造などが禁止されているものや、有害性・危険性が極めて高く人体・環境に与える影響が大きいものを、「トヨタ紡織使用禁止物質」として使用を禁止しています。
「トヨタ紡織管理物質」であるVOC※1、PRTR※2法対象物質に関しては、塗料の水性化や、VOC、PRTR法対象物質の含有量が少ない離型剤への変更に新たに着手するなどして排出量を低減しました。今後も化学物質使用量や工場からの排出量の低減活動を継続的に推進します。
なお、オゾン層破壊物質となるフロンは、当社グループでは使用禁止物質としており、使用していません。

  • Volatile Organic Compounds : 揮発性有機化合物(環境省指定の100物質)
  • Pollutant Release and Transfer Register : 化学物質排出移動量届出制度

PRTR法対象物質・VOC排出量[トヨタ紡織]

グラフ:PRTR法対象物質・VOC排出量[トヨタ紡織]

化学物質排出量

土壌・地下水の汚染防止の取り組み

トヨタ紡織では、土壌・地下水の汚染防止に継続的に取り組んでいます。
1996年に1事業所で基準値を超える有機塩素系物質が検出され、浄化対応を実施しました。浄化完了後も継続的にモニタリングを実施しており、モニタリング状況を地域の懇談会で説明するとともに、所轄官庁へ定期的に報告を行っています。
また、2008年、2018年に判明した別事業所での土壌汚染では、対象の土壌を掘削除去し、浄化を完了しています。
なお、トヨタ紡織グループでは、新規用地取得や工場建設の際には、各国・地域法令に基づいた調査・汚染対策を実施しています。

2024年度 トリクロロエチレン測定結果(環境基準:0.03mg/L)

(単位:mg/L)

工場名 事業所内地下水の濃度 現在の状況
刈谷工場 2022年実績:ND~0.007
2023年実績:ND~0.003
2024年実績:ND
基準値以下
維持継続中

  • 定量下限値未満(0.002未満)

PCBの処理状況

現在、PCB(ポリ塩化ビフェニール)は、法律で使用禁止物質に指定されており、保管しているPCB廃棄物は、2027年3月末までに指定の処理施設で処理することが義務付けられています。
その対応として、トヨタ紡織は、2021年度にPCB廃棄物の処理を完了しました。

事業活動と環境の関わり

事業活動における投入資源と排出環境負荷

エネルギーや水などの投入資源(INPUT)とGHG排出量などの排出環境負荷(OUTPUT)を定量的に把握しています。事業活動にともなう環境負荷を低減する活動を推進し、持続可能な地球環境の実現に貢献していきます。

2024年度の事業活動における投入資源と排出環境負荷

図:事業活動における投入資源と排出環境負荷

Scope3排出量

  • 各エネルギー使用量に各エネルギーの単位発熱量を乗じた値を合計したもの。各単位発熱量(電力使用量を除く)は環境省の「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」の値を採用し、電力使用量は1MWh=3.6GJにより熱量換算して集計
  • 2022年度より、6.5ガス(エネルギー起源CO2以外)、およびトヨタ紡織グループが所有する車両の燃料起源CO2排出量を含めて算定しています
  • 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料、工業プロセス)。トヨタ紡織グループではLNG、都市ガス、LPG、灯油、重油、軽油が対象
  • 他社から供給された電気・熱・蒸気にともなう間接排出。トヨタ紡織グループでは電気・蒸気・温水が対象
  • 建設業の子会社が排出した建設廃棄物の量(718t)は含んでおりません
  • 費用を支払いリサイクルするもの

Webページに記載の保証マーク▶保証マークがついている、トヨタ紡織グループのエネルギー使用量と水使用量、
GHG排出量(Scope1、Scope2、Scope3)、廃棄物排出量は、KPMGあずさサステナビリティ株式会社による
第三者保証を受けています。詳細は独立した第三者保証報告書をご参照ください。

環境保全活動を未来へ伝える環境教育の強化

地域の子どもたちへの環境教育

地域の小中学校で出前教育を行い、環境について楽しく学ぶ機会を提供しています。
2023年度より、豊田市立藤岡南中学校の太陽光発電設備で発電された電力をグリーン電力証書※1として購入し、トヨタ紡織の技能育成センターで使用していることをきっかけに、藤岡南中学校と交流が始まりました。2024年10月に、藤岡地区で開催された「ふれあいフェスティバル」に、藤岡南中学校1年生のコラボ企業として参加しました。生徒のみなさんは、当社と6回の打ち合わせを重ね、当社の環境活動を理解したうえで、ふれあいフェスティバル本番に臨みました。ふれあいフェスティバルでは、当社のシート表皮の端材を利用したコインケースやキーホルダー、廃棄するフィルターを使った小物入れをつくる工作教室を一緒に実施しました。
また、藤岡南中学校の1年生をトヨタ紡織技能育成センターに迎え入れ、トヨタ紡織社員との交流会を実施しました。中学生のみなさんに、「からくり※2」を現地現物で見てもらった後、「トヨタ紡織のSDGsに関する取り組み」を紹介しました。
これらの活動のねらいは、次世代を担う中学生に身近な企業のSDGsの取り組みを体験してもらうことで、SDGsを意識しながら行動する重要性を学んでもらうことでした。
今後も、藤岡南中学校との交流を継続していきます。
(2019年度までに地域の小中学校との交流会を7回開催、2020~2022年度は新型コロナウイルス感染症拡大のため実施せず)

  • 「グリーン電力」が持つ「環境価値」を取引するために、電力と切り離して証書化したもの。「グリーン電力証書」を購入すると、再生可能エネルギーで発電したグリーン電力を使用したとみなすことができる
  • 工場現場の困りごとを改善するために活用される、電力などを使わずに自然の力で動作する簡単なしくみの装置
写真:藤岡南中学校のみなさんとの交流会
藤岡南中学校のみなさんとの交流会

地域社会での取り組み

2020年から、トヨタ紡織の高岡工場で豊田市立堤小学校3年生の社会科見学を受け入れています。児童のみなさんに、地球温暖化の現状を伝えるとともに、高岡工場で行っている太陽光発電や風力発電などの取り組みを紹介しています。
今後も、地域のみなさまとともに環境への理解を深め、持続可能な地球環境の実現を目指していきます。

写真:高岡工場のロビーのモニターを活用して、工場の環境の取り組みを説明
高岡工場のロビーのモニターを活用して、工場の環境の取り組みを説明

社内環境教育活動

トヨタ紡織は、社員の環境意識向上のために社員向けの環境教育を実施しています。
新入社員教育、昇格者向け教育を実施するとともに、毎年6月を環境月間として環境関連行事を開催し、ISO14001関連教育、e-Learning教育なども実施しています。

環境月間における環境講演会の実施

2024年度も環境講演会を実施しました。
日時:2024年6月(環境月間)
講師:山本 裕 さま(公益財団法人日本野鳥の会 自然保護室 チーフ)
演題:生物多様性保全と海洋プラスチックごみ問題
講演内容:2050年までに、海洋中のプラスチックの重量が魚の重量を上回ると予測されています。プラスチックごみが海鳥や海に棲む哺乳類などに誤飲・誤食され、命の危険を招いていることについて、実例を交えてご紹介いただきました。

社会との連携

トヨタ紡織は、日本自動車部品工業会を通じて他業界とも連携しながら、バリューチェーン全体で、カーボンニュートラルの実現に向けて活動を推進しています。
中部地方では、主要企業約250社が加盟している環境パートナーシップ・CLUB(通称 EPOC)に参画しています。EPOCが主催する研修会や視察などへの参加を通じて、中部地方での循環型社会の構築に貢献しています。
また、西三河生態系ネットワーク協議会にも参画し、産官学および地域の自然保護団体との協働により、地域の豊かな自然環境の維持・創出、自然と共生できる地域づくりに取り組んでいます。