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トヨタ紡織と豊田中央研究所が共同開発した高耐衝撃プラスチックが「2019 R&D100 Award」を受賞

表彰・その他

トヨタ紡織株式会社(本社:愛知県刈谷市、取締役社長:沼 毅)と株式会社豊田中央研究所(本社:愛知県長久手市、代表取締役所長:菊池 昇)が共同開発した「高耐衝撃プラスチック(High Impact Polymer Resin)」が、このたび、米国R&D World Magazine主催の「2019 R&D100 Award」を受賞しました。

昨今、企業のSDGs、ESGに対する取り組みが注目される中、トヨタ紡織は、植物材料のケナフにいち早く着目することで、2000年からケナフを活用した部品を実用化し、材料となる植物の栽培から製品開発まで一貫して取り組むなど、環境に優しいモノづくりを推進してきました。CO2排出削減と資源の有効利用を目的に、植物由来原料を活用した材料開発を進め、2013年に豊田中央研究所と共同で「高耐衝撃プラスチック」を開発しました。

【受賞内容】
今回受賞した「高耐衝撃プラスチック」は、世界トップレベルの耐衝撃性能を有する樹脂材料です。100%植物由来樹脂であるポリアミド11(PA11)と、石油由来樹脂のポリプロピレン(PP)を組み合わせ、ナノレベルで制御することでサラミ構造[図1]を形成し、PPと比較して約10倍の衝撃強度[図2]を実現しました。

[図1] 高耐衝撃プラスチックのナノ構造

[図2] 高耐衝撃プラスチック耐衝撃性能

高耐衝撃プラスチックを適用したドアトリムの製品化において、コストと性能を両立させる最適配合を見い出し、従来に比べて約20%軽量化したドアトリム基材の開発に成功、2018年にトヨタ クラウンに採用されました[図3]。今回の2019 R&D100 Awardの受賞は、学術的にも優れた先端研究材料を製品化したことが高く評価されました。

[図3]「高耐衝撃プラスチック」を適用したドアトリム(トヨタ クラウン)

トヨタ紡織は、世界中のお客さまに安全・環境・快適を追求した車室空間を実現するインテリアスペースクリエイターを目指しています。今後も、トヨタ紡織と豊田中央研究所は、「地球」と「人」に優しいサステイナブルな材料開発を進めていきます。

R&D100 Awardは、米国R&D World Magazineが主催する、伝統かつ権威ある賞で、世界的な研究機関や企業が開発し過去1年間に実用化された製品や技術のうち、最も優れた100件を表彰

                   

授賞式(2019年12月5日 米国サンフランシスコにて)

【参考】
1)トヨタ紡織の環境技術開発の変遷

2)高耐衝撃プラスチックに関する特許など

材料開発に関する特許出願
・特許出願 20件
ドアトリム製品化に関する特許出願および受賞歴
・特許出願 7件
・受賞歴  自動車技術会「第69回自動車技術会賞」技術開発賞
      中部科学技術センター「令和元年度中部科学技術センター顕彰」奨励賞

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