ものづくり

からくり改善を中心に効率的な生産ラインを構築

三位一体となって猿投工場シート組み立てラインを「モデルライン」へ進化させる

生産現場の自動化は日々進歩していますが、すべての工程を自動化することはできません。人が作業する工程では、現場の数々の工夫によって効率化や業務負荷の軽減が図られています。このうち、現場にある困りごとや課題を、重力などの自然エネルギーや、歯車、てこの原理などの簡単な機構・しくみを用いて、低コストで改善するものを、ぜんまい仕掛けで動く日本の「からくり人形」になぞらえて「からくり改善」と呼んでいます。
猿投工場のシート生産工程では、トヨタ紡織グループ全体の最先端を走る「モデルライン」を目指し、「からくり」と「人」と「技術革新」を融合した生産工程づくりを進めています。からくり改善は、製造部を主体として、生産技術部、生産調査部が三位一体となって、グローバルでの改善事例を基に、シート生産工程に織り込み、結果を再度情報展開するというサイクルを回しています。

電力やエアーといったエネルギーを直接使用せず、既存の工程で発生している重力などを歯車やてこの原理を応用して使う、からくり装置を考案・製作することは簡単ではありません。しかしこのような改善活動を通じて、今まで当たり前だと思っていた作業が、実は負担になっていたことに作業者自身が気づき、新たな改善にもつながっています。
2021年度、猿投工場のシート生産ラインでは30件近くのからくり改善に成功しました。この30件以外には、改善はしたが別のところで負担が増えてしまったり、工程に当てはめてみると思った通りに動かなかったりなどの失敗例もあります。こういった失敗からも学びを得て、新たな改善を推進していきます。他工場でもからくり改善が活発化するよう、猿投工場はお手本となるモデルラインとして、着実に成果を積み上げていきます。

ベルト締め付け工具の手元化

課題

締付け位置がシートの左右にあるため、締め付け時に身体の向きを変更したり、工具の位置が遠いため、工具を取るために手を伸ばしたりする必要があった。

改善結果

必要な時に必要な場所に必要な向きに工具が来るよう、コンベアに連動して工具が移動するとともに、工具の向きも変わるように改善した。これにより、手元での作業が可能となり、ムダな動きをなくすことができた。

改善前

RH Seat 右シート LH Seat 左シート

改善後

ボルト締め付け時の作業姿勢の改善

課題

ボルト締め付け時、工具を締め付け位置まで手動で引き寄せていた。また、フロントバックフレームが倒れている状態のため、締め付け位置が低く、作業者は前かがみの姿勢で作業をしていた。

改善結果

ラインコンベアーの既存の動力を利用してフロントバックフレームを引き起こし、ボルトの締め付け位置を高くした。また締め付け工具もフレームの動きと連動させ、手元付近に配置するようにした。これにより作業姿勢が改善され、楽に作業ができるようになった。

改善前

改善後

ヘッドレストサポートの自動組み付け

課題

ヘッドレストサポートの挿入時、手で叩いて入れていた。

改善結果

専用の治具にヘッドレストサポートをセットし、シートへ差し込む。その後、コンベアの動力を利用してヘッドの自重で3回叩き込み、サポートを挿入することで、作業者の身体への負担を低減した。

改善前

改善後

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