TNFDへの対応

トヨタ紡織グループは、2016年に「2050年環境ビジョン」を策定し、2023年7月には、当社グループのこれまでの活動と、これから目指す姿を改めて整理し、3つの「重点取り組み」を策定しました。当社グループの事業活動における自然への依存・影響に対する理解を深め、気候変動対応の温暖化抑制、天然資源枯渇対応の資源循環、生物多様性危機対応の自然共生の3つの「重点取り組み」のさらなる推進を目的に、自然に関連するリスク・機会の分析を行いました。
自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD※1)フレームワークを参照し、今後さらなる分析・開示を進めるとともに、地球環境保全への貢献を目指します。

  • Taskforce on Nature-related Financial Disclosures

ガバナンス

気候変動・天然資源枯渇・生物多様性危機を含む環境問題に関する具体的な取り組み施策は、取締役会での意思決定を経て業務執行し、経営戦略会議、経営企画会議、経営会議などへ報告しています。
取締役会、経営戦略会議、経営企画会議で指示された環境問題への対応方針などは、年3回開催される環境推進会議で共有し、トヨタ紡織グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗管理につなげています。また、実行計画に基づくKPIを設定し、毎月の経営会議に報告し、マネジメントレビューを実施しています。環境推進会議で報告、議論された内容は、必要に応じて取締役会に報告し、取締役会の指示・監督のもと、戦略への反映を実施しています。
さらに、経営企画本部を担当するCSO(Chief Strategy Officer)をリーダーに、経営企画部を事務局にして、人事、調達、総務、法務、安全に関する部門からメンバーを選出し、人権ワーキンググループ活動を実施しています。人権ワーキンググループでは、人権の考え方の整理や、人権リスクの特定、取り組みなどの議論を行っており、その活動計画や進捗状況、結果は、CSV推進会議を経て、取締役会長を議長とする取締役会で報告・確認しています。

コーポレートガバナンス体制

人権の尊重

戦略

分析のプロセス

TNFDフレームワークで示されたLEAPアプローチに沿って分析を行いました。

Locate
優先地域の特定
Evaluate
依存・影響の把握
Assess
リスク・機会の評価
Prepare
対応と開示準備
直接操業は、TNFDが定める5つの基準(保全重要度、生態系の完全性、完全性の劣化、水ストレス、自然への依存・影響度)に基づき、優先地域の絞り込みを実施。 TNFDの推奨ツールであるENCORE※2を用いてサプライチェーンの上流・直接操業・下流ごとに自然への依存・影響の重要な項目の特定を実施。 特定した依存・影響を踏まえて、サプライチェーンの上流・直接操業・下流ごとに、影響度と発生可能性の2軸でリスク・機会の特定・評価を実施。 特定されたリスク・機会は、当社グループの事業戦略や取り組みと紐づけ、整理を実施。今回、分析結果を開示。

  • Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure: 国連環境計画 世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)、自然資本ファイナンス・アライアンス(NCFA)などが共同で開発した自然関連の評価ツール

分析結果

抽出した自然関連のリスク・機会の評価が高いものを下表に記載。

要因 影響段階 分類 リスク / 機会 対応
サステナブルな原材料調達の重要度の高まり 調達 リスク
  • 原材料調達段階の法規制の整備にともなう、原材料調達コストの増加
  • リサイクル性向上、サステナブルな素材への置換に向けた製品開発の推進
機会
  • サステナブルな調達による製品価値の向上
  • 原材料のトレーサビリティの精度向上
  • 原材料管理のさらなる厳格化に向けたしくみの強化
自然関連政策の強化 直接操業 リスク
  • 環境法規制(土壌・大気・水質・廃棄物)の強化にともなう操業コストの増加
  • 環境の負荷低減につながる高効率設備導入、新工法の開発推進
  • 資源循環のための体制の強化
機会
  • 水資源の負荷低減による企業価値の向上
  • 水リサイクルによる排水ゼロ工場をモデルとし、さらなる水資源の負荷低減に向けた取り組みの推進
顧客の評価、消費者の価値基準の変化(環境意識の向上など) 製品需要 リスク
  • 資源循環に関する顧客要求を満たせないことによる需要減少
  • リサイクル性向上、サステナブルな素材への置換に向けた製品開発の推進
機会
  • 植物由来製品、軽量化製品の需要拡大
  • リサイクル性向上に向けた技術開発による競争力強化
  • 植物由来製品、軽量化製品の企画・開発
  • リサイクル性向上、易解体設計の推進
渇水、洪水など、異常気象の深刻化 調達 リスク
  • サプライチェーンの寸断が生産に影響し、売上減少
  • サプライヤー影響範囲管理システムを活用したリスク管理
  • 災害の影響を最小化させる物流ルートの選定
直接操業
  • 工場操業停止による売上減少
  • BCP体制の強化
    (マニュアル整備や情報収集・共有システムの構築)

リスク管理

自然関連のリスクは、人事総務本部を担当するCHRO(Chief Human Resource Officer)が議長を務めるリスク管理推進会議で特定します。
リスク管理推進会議では、各部からの報告をもとに、「環境汚染」「自然災害」を含むあらゆるリスクについて議論し、相対的に重要性を判断した上で、最終的に全社にとってのリスクを特定しています。
特定されたリスクは取締役社長であるCRO(Chief Risk Officer)のマネジメントのもと、取締役会へ報告しています。

リスクマネジメント体制

指標と目標





分類 TNFDコア指標(開示単位) 項目 2023年度実績 2025年度目標 2030年度目標
土地利用
変化
総空間フットプリント(km2 植樹本数 累計70万本 累計64万本 累計77万本
陸域・淡水域・海洋利用の変化の範囲(km2 水使用量低減率
(2013年度比)
▲37% ▲6% ▲8%
水資源 総投入量 3,415千m³ - -
汚染 土壌に放出される汚染物質の量(t) PRTR法対象物質取扱量 515t - -
廃棄物の発生と処理(t) 廃棄物排出量削減率
(2011年度比)
▲9% ▲14% ▲20%
廃棄物総排出量 30,138t - -
廃棄物原単位 3.52t/千台 - -
逆有償リサイクル 15,815t - -
焼却廃棄物 6,538t - -
直接埋立廃棄物 7,784t - -
梱包・包装資材使用量 2,049t - -
非GHG大気汚染物質(t) NOx 15.5t - -
SOx 0t - -
PRTR法対象物質取扱量 515t - -
VOC取扱量 428t - -
資源利用 水不足地域からの取水、水消費(m³) 水資源 総投入量 3,415千m³ - -