TNFD※への対応
トヨタ紡織グループは、2016年度に「2050年環境ビジョン」を策定し、2023年度には、当社グループのこれまでの活動と、これから目指す姿を改めて整理し、3つの「重点取り組み」を策定しました。当社グループの事業活動における自然への依存・影響に対する理解を深め、気候変動対応の温暖化抑制、天然資源枯渇対応の資源循環、生物多様性危機対応の自然共生の3つの「重点取り組み」のさらなる推進を目的に、自然に関連するリスク・機会の分析を行いました。
TNFDフレームワークを参照し、今後さらなる分析・開示を進めるとともに、地球環境保全への貢献を目指します。
- Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース
ガバナンス
気候変動・天然資源枯渇・生物多様性危機を含む環境問題に関する具体的な施策は、取締役会での意思決定を経て業務執行し、経営戦略会議、経営企画会議、経営会議などに進捗を報告しています。
取締役会、経営戦略会議、経営企画会議で決議・議論した環境問題への対応方針などは、年3回開催される環境推進会議で共有し、トヨタ紡織グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗管理につなげています。また、実行計画に基づくKPIを設定し、毎月の経営会議に報告、マネジメントレビューを実施しています。環境推進会議で報告・議論した内容は、必要に応じて取締役会に報告し、取締役会の決議・監督のもと、戦略へ反映しています。
また、環境への影響は地域社会やそこで暮らす方の権利にも直結するため、人権の観点も重視しています。具体的な活動として、経営企画本部を担当するCSO(Chief Strategy Officer)をリーダーに、経営企画部を事務局にして、人事、調達、総務、法務、安全に関する部門からメンバーを選出し、人権ワーキンググループ活動を実施しています。人権ワーキンググループでは、人権の考え方の整理や、人権リスクの特定、取り組みなどの議論を行っており、その活動計画や進捗状況・結果は、CSV推進会議を経て、取締役会長を議長とする取締役会に報告し、監督しています。
戦略
分析のプロセス
TNFDフレームワークで示されたLEAPアプローチに沿って分析を行いました。
LEAPアプローチ
Locate 優先地域の特定 |
Evaluate 依存・影響の把握 |
Assess リスク・機会の評価 |
Prepare 対応と開示準備 |
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直接操業は、TNFDが定める5つの基準(保全重要度、生態系の完全性、完全性の劣化、水ストレス、自然への依存・影響度)に基づき、優先地域の絞り込みを実施。 | TNFDの推奨ツールであるENCORE※を用いてサプライチェーンの上流・直接操業・下流ごとに自然への依存・影響の重要な項目の特定を実施。 | 特定した依存・影響を踏まえて、サプライチェーンの上流・直接操業・下流ごとに、影響度と発生可能性の2軸でリスク・機会の特定・評価を実施。 | 特定されたリスク・機会は、当社グループの事業戦略や取り組みと紐づけ、整理を実施。今回、分析結果を開示。 |
- Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure: 国連環境計画 世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)、自然資本ファイナンス・アライアンス(NCFA)などが共同で開発した自然関連の評価ツール
分析結果
抽出した自然関連のリスク・機会の評価が高いものを下表に記載。
要因 | 影響段階 | 分類 | リスク / 機会 | 対応 |
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サステナブルな原材料調達の重要度の高まり | 調達 | リスク |
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機会 |
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自然関連政策の強化 | 直接操業 | リスク |
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機会 |
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お客さまの評価、消費者の価値基準の変化(環境意識の向上など) | 製品需要 | リスク |
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機会 |
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渇水、洪水など、異常気象の深刻化 | 調達 | リスク |
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直接操業 |
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- Business Continuity Plan:事業継続計画
リスク管理
自然関連のリスクは、人事総務本部を担当するCHRO(Chief Human Resource Officer)が議長を務めるリスク管理推進会議で選定します。
リスク管理推進会議では、各部からの報告をもとに、「環境汚染」「自然災害」を含むあらゆるリスクについて議論し、相対的に重要性を判断したうえで、最終的にトヨタ紡織グループにとってのリスクを選定しています。
選定されたリスクは取締役社長であるCRO(Chief Risk Officer)のマネジメントのもと、取締役会へ報告しています。
指標と目標
依 存 ・ 影 響 |
分類 | TNFDコア指標(開示単位) | 項目 | 集計範囲 | 2024年度実績 | 2025年度目標 | 2030年度目標 |
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土地利用 変化 |
総空間フットプリント(km2) | 植樹本数 | 連結 | 累計76万本 | 累計64万本 | 累計77万本 | |
陸域・淡水域・海洋利用の変化の範囲(km2) | 水使用量低減率 (2013年度比) |
連結 | ▲42% | ▲6% | ▲8% | ||
水使用量※1 | 連結 | 3,012千m³ | - | - | |||
汚染 | 土壌に放出される汚染物質の量(t) | PRTR※2法対象物質取扱量※1 | 単体 | 1,207t | - | - | |
廃棄物の発生と処理(t) | 廃棄物排出量削減率 (2011年度比) |
連結 | ▲10% | ▲14% | ▲20% | ||
廃棄物総排出量※1 | 連結 | 28,392t | - | - | |||
廃棄物原単位※1 | 連結 | 3.46t/千台 | - | - | |||
逆有償リサイクル※1 | 連結 | 18,006t | - | - | |||
焼却廃棄物※1 | 連結 | 4,053t | - | - | |||
直接埋立廃棄物※1 | 連結 | 6,333t | - | - | |||
梱包・包装資材使用量※1 | 単体 | 2,003t | - | - | |||
非GHG大気汚染物質(t) | NOx※1 | 単体 | 18.0t | - | - | ||
SOx※1 | 単体 | 0t | - | - | |||
PRTR法対象物質取扱量※1 | 単体 | 1,207t | - | - | |||
VOC※3取扱量※1 | 単体 | 304t | - | - | |||
資源利用 | 水不足地域からの取水、水消費(m³) | 水使用量※1 | 連結 | 3,012千m³ | - | - |
- 詳細はESGデータをご覧ください
- Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出制度
- Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物(環境省指定の100物質)