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植物由来の自動車用シートクッションを開発

製品・技術・展示会

トヨタ紡織株式会社(本社:愛知県刈谷市、取締役社長:豊田周平、以下 トヨタ紡織)は、地球環境にやさしい車室空間の実現を目指し、植物由来の原料を用いた「自動車用シートクッション」をトヨタ自動車株式会社(以下 トヨタ自動車)、三井化学株式会社と共同で開発し、5月にトヨタ自動車が発表した新型プリウスに採用されました。

このシートクッションは、クッション部分に使用されるポリウレタンの主原料である石油由来のポリオール※1の一部を、植物由来の「ひまし油※2」 の成分に置き換えています。「ひまし油」を分子レベルでポリオールに近い構造へと変性させる技術を用い、自動車用シートに要求される反発弾性、耐久性を実 現しました。これにより、乗り心地性能、品質および質量はそのままに、植物由来の原料を使用することによって、製造から廃棄までのライフサイクルで二酸化 炭素排出量を抑制するとともに、限りある石油資源の使用量低減に寄与しています。

トヨタ紡織では、地球環境にやさしい社会を実現するために、1990年代後半から植物由来の原料を自動車内装部品に採用する研究に取り組んでいます。そ の代表が、生長が早く二酸化炭素の吸収能力が高い一年草植物「ケナフ」で、インドネシアで種子開発から、栽培、ボード生産までのすべてを事業化していま す。そして、世界各地でドアトリム基材などの内装部品へと製品化しています。

トヨタ紡織は、今後も植物由来のシートクッションの採用車種拡大を提案するとともに、内装部品に応用できる新たな植物の研究を重ね、内装部品の植物化によるカーボンニュートラル※3の実現を目指します。また、内装システムサプライヤーとして、さらに快適な車室空間を実現する技術開発に取り組んでいきます。

※1: 2 個以上の水酸基(OH)を持つ多価アルコール。主にポリプロピレンの基礎原料のひとつとして用いられる。
※2: トウダイグサ科の植物「トウゴマ」の種子をひまし(蓖麻子)と言い、ひまし油をとる。世界の熱帯・温帯地域で油脂植物として広 く栽培されている。
※3: ライフサイクルの中で二酸化炭素の増減がゼロなこと。植物は光合成により大気から二酸化炭素を吸収し成長しているため、 植物を焼却してもライフサイクルの中では大気中の二酸化炭素を増加させないという考え方。

植物由来の原料を用いた「自動車用シートクッション」

トウダイグサ科の植物「トウゴマ」

トウゴマの種子「ひまし(蓖麻子)」