トヨタ紡織グループのDX

2021年4月よりチーフオフィサーを新たに設け、Chief Digital OfficerとDX&IT推進本部のもと、DX推進体制を構築し、さらなるデジタル化、業務プロセス変革を加速しています。
その中で、2030年中期経営計画の基盤となるものづくり競争力の強化を実現するため、DXを通じて2030年までに業務を効率化し、ビジネススピードを2倍にすることを目標として活動しています。この目標達成のためには、事務・技術・製造などあらゆる分野で、デジタル技術の最大限の活用が必要です。業務効率化と精度向上を徹底的に行うことで仕事の余白づくりを進め、成長戦略を支える基盤固めを図ります。

  • デジタルトランスフォーメーション

ビジネススピード2倍達成に向けた取り組み

インテリアスペースクリエイターとして快適な移動空間を提供し、社会課題の解決に貢献するために、4つの柱でDXを推進

図:ビジネススピード2倍達成に向けた取り組み

1. 技術開発力の強化

Engineering & Development

もっと早く、しなやかに。つながる開発を

デジタル技術を活用した設計支援や設計・開発プロセスの変革により、効率化や開発スピードの向上を目指します。
また、デジタル技術を駆使しながら、多様化するニーズに素早く応えることで技術開発の競争力を強化します。

設計業務の標準化と効率化

部品の標準化や設計段階で蓄積した知見をデータベース化した「設計ナビ・ガイドシステム」を運用し、その適用範囲の拡大、図面完成度の向上と設計工数の大幅削減により、開発プロセスのさらなる効率化と品質向上を実現しています。また、生成AIなど最新のデジタル技術と融合して、シミュレーション技術の高度化、設計業務の自働化を推進し、エンジニアが新技術・新製品の開発に注力できる環境づくりを目指します。

見積もり精度向上に向けた原価のものさしの整備

開発から生産までの「製品基本情報」が積み上がるしくみを構築し、迅速かつ精度の高い経営判断に必要となるCO2排出量、原価、質量などの各種情報を算出・可視化できるシステムの構築を推進しています。

2. ものづくり競争力の強化

Manufacturing.

もっとよいものを、地球にやさしく、タイムリーに。つながる工場を

AIを含めたDXを活用し、労働力不足・カーボンニュートラルへの対応といった製造業が直面する課題の解決を目指します。ものづくりの変革を進め、高効率で高品質を実現し、競争力を強化します。

ものづくり自働化と生産物流管理の最適化

最新のデジタル技術を活用したものづくりの自働化を加速し、協働ロボットの導入やAI活用による生産効率と品質の向上を推進しています。
また、生産計画と物流計画の統合により、荷量の平準化と配送ルートの最適化を実現し、物流効率の向上に取り組んでいます。これにより、CO2排出量の削減に加え、トラックドライバーの労働環境の改善にも貢献しています。
これらの取り組みは、生産から物流までのバリューチェーン全体において、効率化と高品質を実現し、社会課題の解決に貢献するとともに、市場における競争優位性の向上も図っています。

3. 経営情報基盤の強化

Business Platform

見える、わかる、迅速な手が打てる。つながる経営を

経営情報の集約・可視化に加え、事業における予兆を素早く把握・管理することで、経営判断の迅速化を目指しています。

経営情報の高度化とスピード化

経営に資するあらゆる財務・非財務情報の収集・蓄積・可視化を可能とするシステムを構築し、経営意思決定の迅速化・高度化を実現しています。その結果、月次決算期間の短縮などで情報処理速度が向上し、迅速かつ精度の高い経営判断が可能となりました。
今後も、開発から生産までの「製品基本情報」と、製造現場における「生産実績情報」をもとに、売上・利益などの財務情報と、GHG排出量など非財務情報を、タイムリーかつ正確に収集・蓄積・可視化することで、より迅速かつ精度の高い経営判断につなげます。

4. 社員みんなで製品をつくるマインド基盤の強化

Corporate Culture & Mind

明るく楽しくみんなでつくる。つながる会社風土とマインドを

トヨタ紡織のDXは、社員一人ひとりの仕事がものづくりにつながっていると知ることや、社員みんなで製品をつくるマインドを持つことを大切にしており、人・しくみ・仕事の3つの観点から、変革を促す活動を行っています。

余力づくりに向けたデジタルツールの活用による土台づくり

生成AIをはじめとするデジタルツールを活用し、日常業務の生産性を向上させることで、業務における余力の創出に取り組んでいます。特に、デジタル活用に対する課題意識や関心の高い部門と連携し、DXチームを構築。勉強会、交流会、発表会などの活動を通じてノウハウを蓄積、共有し、全社的なデジタル活用の定着と効果の最大化を目指して取り組みを推進しています。
また、2024年12月に、社内DX展示会「DX&AI EXPO」を開催し、全46事例を展示しました。会期中は約1,600人の社員が参加し、生成AIをはじめとする最新のデジタル技術や業務改革の事例を体験、共有する場となりました。このイベントは、社内におけるデジタル活用の風土を醸成するとともに、思いを同じくする仲間が部門を越えて交流し、つながる機会にもなりました。今後は、こうした取り組みをさらに拡大し、全社員がデジタルを即活用・即効果できる土台づくりを進めていきます。

全社員が高い機動力で安全・安心に働ける環境づくり

サイバーセキュリティリスクの巧妙化に耐え得る堅牢けんろうなインフラ環境・体制の整備を進めています。あわせて、生成AIなどの最新デジタル技術を活用し、外部環境の変化に迅速に対応できる機動力を確保することで、全社員が安全・安心に働ける環境の実現を目指しています。

リスクマネジメント 機密管理と情報セキュリティ

デジタル人材育成

当社グループは、将来の競争力確保に向け、業務改革のためのDXの推進に取り組んでいます。特に「デジタル人材の育成」については、社員が一丸となって、スピード感のあるDXを推進していくために欠かせない取り組みだと考えています。
当社グループのDXを推進するために、

  • 業務プロセス改革を支える最適なデジタルツールの活用推進
  • 今後、増加するデータの有効な業務活用ができる人材の育成
  • デジタルツール、データを安全に利活用するための知識習得

が必要であると考えています。これらを備えた人材の育成を目指し、教育などに注力していきます。
また、社内副業や人事交流の制度などによる組織を越えた体制づくり、社内向けDX展示会や発表会、セミナーなど交流できる場をつくることで、全社員がデジタル活用に取り組める土台の整備にも取り組んでいます。

DX認定

当社は、2022年5月に経済産業省が定めるDX 認定制度に基づき「DX認定事業者」の認定を取得しました。
今後も、当社グループの強みにデジタル技術を融合させ、さまざまな社会課題の解決に貢献していきます。

  • 「情報処理の促進に関する法律」に基づき、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応し、DX戦略・体制の準備が整っている企業を国が認定する制度