トヨタ紡織グループのDX ─ グローバルサプライヤーを凌駕するために
全社一丸で取り組むトヨタ紡織グループのDX
DXを加速するために、私たちトヨタ紡織グループが全社的な推進体制を整えたのは2021年4月。チーフオフィサー制の導入に合わせてChief Digital Officerを新たに選任し、そのもとに主幹組織としてDX&IT推進本部を置きました。同じ時期にスタートした2025年中期経営計画の達成に向けて、ものづくりをはじめとする業務プロセスの革新にデジタル技術を活用しています。
2025年中期経営計画で、私たちは「内装システムサプライヤーとして“ホーム”となり、グローバルサプライヤーを凌駕する会社」を目指しています。目指す姿を実現するために、DXの面で何をすべきか、何ができるか。中期経営計画骨子の企業価値向上シナリオを軸に考え、下の図に示すように4つの基本方針を立て、それぞれ施策を整理しました。
トヨタ紡織グループのDXの全体像
ビジネススピードや品質の向上につながる業務プロセス改革
基本方針のひとつ「競争力強化」に基づいて、デジタル情報・デジタルツールを活用した業務プロセスの変革、コアビジネスの強化を推進しています。あらゆる業務工程でその徹底を図っており、例えばものづくりにおいては、営業企画から生産・物流に至るまでの過程で、提案力強化やリードタイム短縮、品質向上のためにデジタル技術を活かしています。また、そこで蓄積したデータを財務・経営管理にも活用し、経営判断の迅速化につなげます。
部門間の情報連携をスムースにできるよう、部門ごとに蓄積・管理しているノウハウやデータのうち、他部門でもよく使うものを集約した情報活用基盤の構築を進めています。入手したい時に独自に収集したり、担当部門にいちいち依頼する無駄をなくし、正確な情報を誰もがいつでも利用できるようにする計画です。そのような環境をあらゆる業務において整備し、効果的に活用していくことで、より強い組織へと進化していきます。トヨタ紡織グループは91社、約4.5万人の社員と1.5兆円規模の売上収益を擁するグローバルメーカーです。DXによって得られる効果も大きいと確信しています。
各プロセスにおける情報のデジタル化
DX人財の育成と、その活躍を後押しする環境づくり
基本方針のうち、特に重視しているのが「DX人財育成」です。これから本格化させるグローバルなDX戦略、ひいては会社のさらなる成長をリードする人財の発掘・育成に力を注いでいます。また一方で、DX人財が存分に活躍できる環境づくりにも取り組んでいます。優秀なDX人財がいくら増えても、思うように力を発揮できなかったり、孤軍奮闘に陥ってしまっては良い成果に結びつきません。職場の全員が一緒にDXを目指せるような、風土の醸成、知識・リテラシーの底上げが必要だと私たちは考えています。
全員参加でデジタル活用を加速していけるよう、デジタル化相談窓口をDX&IT推進本部内に設置しました。現状、社内の意識は総じて高まっており、各種デジタル教育の受講者も増えています。ただ、実際どれくらいデジタル技術を活用できているかといえば、個人によって差があり、何をどうすればいいのか困っているケースもあります。そうした状況を踏まえて、デジタル化相談窓口は社員の困りごとやDXを通じて実現したいことを聞き、デジタル活用のアイデア提案や影響・効果の試算、運用面のアドバイスなどのサポートをしています。それぞれの職場で実体験を積みながら、DX人財を含む全員が主体的にデジタル技術を活用していく組織を私たちは目指しています。