働きがい・雇用

人事労務の基本的な考え方

良好な労使関係を基盤に、「安定した雇用」「労働条件の中長期的かつ安定的な維持・向上」を目指し、労使懇談会をはじめとした、労使間の徹底的なコミュニケーションを通じ、双方の方針や課題を共有することで労使相互の責任を果たすべく努めています。また、当社が大切にする価値観を反映した評価基準に基づく評価で、人材育成を促進するとともに公正・公平な処遇の実現に努めています。さらに、労働時間、休日、賃金などの基本的労働条件に関する各国・地域の法令を遵守しています。

図:人事労務の基本的な考え方
  • 個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること

働きやすさの追求

社員が明るく楽しく働くことができる職場づくりや、より柔軟で、効率的、創造的なワークルールの整備を行うことで、働きやすさの向上を図っています。
労働時間については、労働基準法を遵守し、法定労働時間を超える場合には法定の手続きを行っています。また、健康管理上の観点から、「残業時間年間540時間超過者ゼロ」(管理監督者除く)を目標とし、長時間労働の抑制を図っています。
長時間労働抑制の具体的な施策として、全社で
1. 資料の簡素化活動
2. 会議のスリム化活動
3. デジタルツール活用(RPAなど)
による業務の効率化を推進しています。
さらに、コアレスフレックスやテレワーク制度など、時間や場所にとらわれない働き方が可能な制度を整え、柔軟な働き方を推進しています。
これらの活動は、社員のWell-beingの実現に貢献すると考えています。今後も、心身の健康を増進し、生産性や満足度の向上につながる活動に取り組んでいきます。

従業員エンゲージメント

2024年度より、アンケート調査方法を従来の従業員サーベイから、各職場での分析や他社とのベンチマークが可能なトヨタ紡織EX(Employee Experience)サーベイに刷新しました。また、組織や業績目標に自発的に貢献しようとする意欲を示す従業員エンゲージメントの肯定回答率を、KPIとして設定しました。従業員の声を人材戦略・施策・職場改善へ効果的につなげ、従業員エンゲージメントを向上することで、多様な価値観や考え方を持つ社員が協力し合い、ともに成長できる風通しのよい職場づくりを推進します。

従業員エンゲージメント肯定回答率[トヨタ紡織]

グラフ:従業員エンゲージメント肯定回答率[トヨタ紡織]

年次有給休暇取得率の推移

有給休暇の取得率は継続的に高い水準を維持しており、直近の5年間は、95%を超える水準で推移しています。2025年度も引き続き、会社目標として、組合員は14日/年、またはカットゼロ(失効休暇の撲滅)、管理監督者は6日/年を設定し、労使で取得を促進しています。

年次有給休暇取得率(%)[トヨタ紡織]

グラフ:年次有給休暇取得率(%)[トヨタ紡織]
  • 休職者、海外赴任者除く
  • 厚生労働省 就労条件総合調査
  • 前年度繰り越し分も含む有給休暇取得日数を、繰り越し分を除く有給休暇付与日数で割って計算するため、有給休暇取得率は、100%を超える場合がある

賃金

トヨタ紡織グループは、各国・地域の最低賃金などの法令を遵守することはもちろん、同一労働同一賃金の考えを尊重しています。また、労使でも協議し、社員とその家族の充実した生活を保障する賃金水準としています。
報酬体系として、トヨタ紡織では、基幹職以上の階層には、前年度の会社業績をもとに賞与の支給水準を決定する業績連動型のしくみを導入しています。また、組合員も会社業績をもとに、労使での協議を経て、賞与の支給水準を決定しています。
賞与額は、会社業績に加え、個人の担当業務の半期ごとの実績を反映し、決定しています。会社業績と個人の実績を報酬に反映させることにより、業績の向上・目標達成に向けた意識づけと、成長とやりがいが感じられるしくみとしています。

退職金制度

トヨタ紡織では、退職金制度として、退職一時金制度、企業年金基金制度、確定拠出年金制度を設けています。企業年金基金制度では、一時金支払いや受取期間を決めることのできる有期年金(15年/10年/5年)だけでなく、受給者が終身で年金を受け取ることができ、給付開始後20年以内に亡くなった場合でも遺族の方が年金を受け取ることのできる20年保証終身年金の選択も可能です。これにより、社員の老後の生活の安心・安定につなげています。確定拠出年金制度では、商品や積立額を選べる、転職しても持ち運べるなど、人材の流動化にも対応しています。これらを通じ、長期間、安心して当社で活躍できる制度を整備しています。

従業員持株会

従業員の経済的Well-being実現に向けて、長期の財産形成を支援することを目的としています。1977年に、豊田紡織の持株会として発足しました。
当社正社員・定年後再雇用者を対象とし、給与、賞与から当社の株式を購入する資金を拠出します。当社からの奨励金は拠出金の10%であり、配当金は会員それぞれの株式購入資金として再投資されます。2024年は3社合併20周年を記念して、全会員に1人あたり20株を付与しました。2025年3月1日時点の加入率は58%です。

新卒・中途採用

新卒採用

能力の高い多様な属性、価値観を持った人材を、安定的、積極的に採用する方針です。また、分野別採用枠を設け、適性がある人材に対して、入社後も計画的に育成を行い、早期に即戦力として活躍できる体制を構築していきます。
配属部署は、新入社員の希望や適性を見極め最適な部署に配置する従来の方法に加え、内定時に入社後の初回配属を確約するコース別採用を取り入れています。

中途採用

中期経営計画を達成するために、DXや環境関連技術といった高い専門技術を持った人材の採用を進めています。採用手法としては、人材紹介、ダイレクトリクルーティングに加え、社員からの紹介によるリファラル採用、元社員を再雇用するアルムナイ採用を取り入れ、優秀な人材や当社の文化・業務に精通した人材を効率的に採用しています。また、入社形態に関わらず育成・昇格を行っており、中途採用でも定期採用と同様に活躍ができる環境を構築しています。今後も、異なるバックグラウンドや経験、知識を持ち、当社の事業にさらなる付加価値を生み出すことができる人材の獲得を進めるとともに、新たな施策を実施していきます。

採用人数[トヨタ紡織]

年度 単位 2020 2021 2022 2023 2024
新卒採用者数 事務、技術職 男性 88 58 80 135 153
女性 30 20 25 49 30
技能職 男性 54 48 51 60 61
女性 13 9 12 14 16
女性比率 % 23.2 21.5 22 24.4 17.7
合計 185 135 168 258 260
中途採用者数 大学卒 男性 0 1 19 64 110
女性 7 8 7 17 29
高校・専門学校卒 男性 0 0 0 4 10
女性 2 0 0 0 1
年度採用者数に占める
中途採用比率
% 4.6 6.3 13.4 24.8 36.6
合計 9 9 26 85 150
新卒採用+中途採用 合計 194 144 194 343 410

  • 技能職の中途採用者数は含まれていません

人材の定着活動

近年、人材の流動化が活発になり、雇用市場の変化や労働者の意識も変化していますが、職場環境や制度の整備といった働きやすさの追求を行い、当社の離職率は、全産業平均を下回る水準となっています。
離職者の内訳は、約8割が定期入社者となっているため、新入社員の定着活動として、「本人希望、個人適性、専攻を考慮した配属」「配属後アンケートと個別面談」「育成記録表を用いた上司・先輩との三者面談」を実施しています。また、新入社員とのコミュニケーションを円滑にするためにも、直属上司と先輩が「コミュニケーションスキル研修」を受講しています。この研修は、その後のOJT活動にもよい影響を与え、新入社員のモチベーション維持に寄与していると考えています。

離職率(正社員)の推移[トヨタ紡織]

項目 単位 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
自己都合離職率 99 110 143 155 151
1.10 1.17 1.62 1.75 1.67
新卒3年以内離職率   3.2 8.3 9.9 6.3 9.4
事務・技術職 3.8 6.5 8.9 2.4 12.7
技能職 1.8 11.1 11.9 10.7 5.1

非正規社員の処遇

労働関連法規にのっとって非正規社員を雇用し、法令で定められた各種社会保険や休暇も就業規則や各種規程に沿って適切に処遇しています。また、処遇は正社員と不合理がないよう運用しています。さらに、派遣社員の就労にあたっては、労働者派遣法や派遣先の講ずべき措置に関する指針とその他の法令に基づき対応しています。