知的財産への取り組み

知的財産への取り組み

基本的な考え方

知的財産を経営上の重要な資産であると捉え、経営戦略や事業戦略に貢献できるよう、グローバルな事業の自由度と競争力を確保するための知財活動を推進します。
さらにトヨタ紡織グループのマテリアリティ実現に向けて、特許出願件数のKPI達成に加え、重点特許網を構築し、知的財産のさらなる強化を図ります。また、他者の知的財産を尊重し、製品・技術開発で他者の知的財産権を侵害しないよう十分な調査を行います。

知財活動VMV(Vision Mission Value)

2030年目指す姿の実現に向けて、知財戦略の強化を図るため、新たに知財活動のVMV(Vision・ Mission・Value)を定義しました。
このVMVを社内外に発信することで、知財活動の考え方を広く共有し、より多くのステークホルダーと共感、共創することを目指しています。これにより、新たな価値の創造につながり、競争力の強化と持続的な成長へと発展していくものと考えています。
また、今回の知財活動VMV策定にあたっては、知的財産戦略部のメンバーが主体的に参加した経緯があり、その過程を通じて理解を深めることができました。その結果、VMVを自分たちの言葉として捉え、日々の知財活動の実践に活かしています。

知財活動VMV 概要

Vision トヨタ紡織の技術と経営の未来を“知財”で創造する
Mission 知財を駆使して“価値創造”と“価値獲得”を実現する
Value
  1. 【知的財産】攻めと守り
  2. 【知財投資】選択と集中/権利活用
  3. 【知財活動における人的資本】共有/共感/共創

知的財産

特許資産価値の可視化

当社は、保有特許に対する客観的な評価指標として、LexisNexis社のPatent Sightによる特許資産価値(Patent Asset Index)の指標を用いて、グローバルにおける現状把握、および競合他社との比較分析を実施しています。特許優位性を維持しつつ、特許資産価値の向上につながる活動を実施しています。

自動車シート分野における競合他社との比較

自動車シート分野における競合他社との比較

製品ロードマップと連携した特許出願

当社では、技術的な強みの構築状況を示す指標として、各年度の出願件数における製品ロードマップ特許出願件数の割合を活用しています。2023年度は、製品ロードマップ特許出願件数の割合は30%程度でしたが、2024年度の知財活動の強化により約50%まで向上しました。この割合が高いほど、重要な開発テーマに対して戦略的に特許出願が行われていることを示しており、当社のコア技術の強化や競争力の向上につながるものと考えています。

製品ロードマップ特許出願件数の割合

製品ロードマップ特許出願件数の割合

知財投資

知財投資による事業競争力の強化

2004年度に豊田紡織(株)、アラコ(株)、タカニチ(株)が合併し、3社が保有していた自動車用シートに関する特許権を集約しました。その後、2015年度にはシート骨格機構部品の競争力強化を目的として、(株)アイシン、アイシンシロキ(株)からシート骨格機構部品に関する開発機能を移管。さらに2022年度には、これらの開発機能に関する特許権を取得しました。2024年度には、2023年度に子会社化したトヨタ紡織精工(株)が保有していたロングスライドレールなどの特許権を取得し、アッセンブリから構成部品、機能部品に至るまで、自動車用シートの製品開発を一気通貫で行える体制となりました。このように、戦略的な知財投資による事業競争力を強化しています。

自動車用シート分野における特許保有件数

自動車用シート分野における特許保有件数

知財活動における人的資本

クリエイティブ人材の育成

当社は、価値創造につながる特許出願活動を通じて、アイデアを生み出し続けることができるクリエイティブな人づくりを目指しています。全技術者のうち発明者として特許出願に携わった社員の割合を、知財におけるクリエイティブ人材育成の指標としています。この割合が高まることで、技術者自身が価値創造を実感し、さらなるアイデアの創出へとつながる好循環が生まれると考えています。

発明者数/発明者割合

発明者数/発明者割合

価値創造活動を推進する人材の育成

価値創造活動の推進に向けた新たな取り組みとして、知的財産戦略部のメンバー7名が人材戦略部主催の教育プログラムに参加しました。このプログラムでは、価値創造のための手法やファシリテーションスキルを習得し、社内のアイデア創出の場においてファシリテーターとしての役割を務めています。この活動は、価値創造活動の活性化に寄与するだけでなく、知的財産戦略部のメンバー自身のスキル向上にもつながっています。また、社内関係者との考え方の共有や共感、共創を促進し、全社的なクリエイティブ風土の醸成にも貢献しています。

知財ガバナンス体制

2023年度より、取締役会において年1回、知財活動の状況を報告しています。また、全社会議である技術企画会議にて、知財戦略に関する議論を議事の一つとして継続的に実施しています。
さらに、知財活動をより活性化させるため、技術管理領域長を議長とする知財委員会を設置し、各技術系部署の部長が参画しています。この委員会では、取締役会や技術企画会議との情報連携や意見交換を通じ、知財活動に関するマネジメントを推進しています。また、各技術系部署には部内の知財活動を推進する知財推進委員が選任されており、知的財産戦略部と各部の知財推進委員で構成される知財推進委員WG(ワーキンググループ)にて知財活動に必要な教育の実施や実務上の課題解決に取り組んでいます。
このように、経営層から各部の推進委員までが連携し、情報の共有と議論が可能な体制を構築することで、全社的な知財活動の強化を図っています。

知財ガバナンス体制図

知財ガバナンス体制

特許件数実績

特許保有件数

特許保有件数

特許出願件数

特許出願件数