MaaSの市場拡大に向けて、新規ビジネスを創出

急速な市場拡大が予想される「MaaS」

ニュースなどで、「MaaS」という単語を目にしたことはないでしょうか。これは、「サービスとしての移動」を意味するMobility as a Service（モビリティ・アズ・ア・サービス）の頭文字を取った略語です。MaaSでは、公共交通機関やライドシェアといったモビリティサービスなど、マイカー以外のすべての交通手段による移動をシームレスにつなぎ、移動の効率化を目指します。その際、最先端のICT（情報通信技術）を活用することで、あらゆる交通手段の予約・案内・決済までを統合し最適化しています。

2021年の国内MaaS市場は、10分野のモビリティサービスと、MaaSプラットフォーム市場、MaaSアプリ市場をあわせた12市場の合計で、4,905億9,000万円と推計されています。また、2030年の同市場規模は1兆7,188億円、2035年は2兆3,608億円になると予測されています。マネタイズに苦戦している側面はあるものの、日本の都市開発と地方創生にはMaaSが欠かせないという分析結果もあり、将来に向けて活用が期待されています。

車室空間を多様なニーズに合わせ可変できる、自動運転車「MX221」を発表

トヨタ紡織グループでも、MaaS市場の到来に向けて着々と準備を進めています。2023年には、米国ラスベガスで開催された技術見本市「CES」に、自動運転レベル４を想定したライドシェア「MX221」を出展しました。この商品は、Diversatility（ダイバーサティリティ）^※1をコンセプトに、1台の車両で多様なユーザーに応える可変式の車室空間を提案しています。トヨタグループ6社が連携し、4つのねらいを持って取り組みました。

1つ目は、MaaSによって変化する経済構造・仕組みへの対応です。今後はOEM^※2、エンドユーザーに加えMaaSのサービス提供業者が新たな顧客となることが想定されるため、新たな目線を追加しニーズの発掘をしました。

2つ目は、ビジネス機会の拡大です。たとえば、インテリアモジュール化による交換ビジネスなど、新しい商品開発と提供価値を通じて成長領域を拡大していこうと考えています。

3つ目は、持続的に新しい体験価値を提供することです。HWSW^※3アップグレードを通じて、新しい製品プロセスおよび生産方法、製品開発を行います。モジュール化シート構造、新しい付加価値インテリア、OTA^※4によるSW^※5アップグレードがその例です。

4つ目は、企業イメージの向上です。革新的な車室空間を提案するグローバルリーダー、そして社会問題解決に貢献する企業として、トヨタ紡織グループのイメージを高めていきます。

私たちはMX221のプロジェクトを通じて、車室空間全体を企画・提案できる「インテリアスペースクリエイター」となることを目指していきます。

新規ビジネスの可能性

MX221のコンセプトは、6年ごとに室内空間がアップデートされる航空機から着想を得ました。自動車においても稼働率の大幅な向上により定期的に車室空間をアップデートするビジネス機会が生まれると考えます。

最初の内装・シートはOEMに出荷し、それをサービスプロバイダーに車両と共に納品します。その後、空間アップデートする際はサービスプロバイダーと直接取引することも想定しています。これにより、車両1台当たりの潜在的な収益は、大幅に向上する可能性があります。この新規ビジネスを実現するために、当社グループはケイパビリティ拡大による移動空間全体の提案能力を獲得していきます。

• ※1 DiversityとVersatilityを合わせた造語。
• ※2 トヨタ自動車(株)などの自動車メーカー
• ※3 小型コンピュータ業界の取引標準メッセージ。
• ※4 ソフトウェアの更新に使われる無線技術。
• ※5 software（ソフトウェア）の略。

関連情報

ニュースリリース：トヨタ紡織、１台で多様な医療サービスをサポートできる車室空間を提供、実証実験を開始

技術ロードマップ

わたしたちは『世界中のお客様へ感動を織りなす移動空間の未来を創造する』をVISIONとし、その実現に向けて技術ロードマップを策定しています。
技術ロードマップはお客様のニーズや社会的要請を満たした当社が提供する製品を示し、会社が掲げるビジョンから製品、それを構成する要素部品、要素技術まで、繋がりを持った開発の方向性を示しています。
私たちが実現すべき3つの空間とそれを支える2つの必須技術を定義し、必要とされる製品・技術アイテムを創出し、お客様ニーズやトレンドに沿って開発を推進しています。
こうしたアプローチにより、市場ニーズに合致した製品をタイミングよくお客様に提供します。