植物由来のプラスチックが地球を救う
植物由来材料の探求
自動車には鉄やアルミニウム、プラスチックなど、さまざまな材料が用いられます。強度があり軽い材料であるプラスチックですが、石油由来のプラスチックは使用後に焼却処理されることが多く、その時に気候変動の原因となる二酸化炭素(CO2)が発生します。また、原料の石油が枯渇する可能性もあります。これらの理由から、石油由来プラスチックに代わる材料が世界中で強く求められています。
こうした中で、私たちトヨタ紡織グループは、植物由来材料などの活用を通じた材料置換を進め、環境にやさしいものづくりを推進しています。クルマのライフサイクルCO2削減を目指し、20年以上前から「ケナフ」という成長が早くCO2吸収能力の高い一年草を活用した製品開発を進め、ドアトリム基材やエアクリーナーケースなど自動車部品に採用されています。繊維強度の強いケナフを補強材と使用することで軽量化による燃費向上(走行時CO2削減)にも貢献しています。
海洋プラスチック問題の解決を目指して
世界の海に存在するプラスチックごみは生態系に大きな影響を与えています。そこで期待されているのが、微生物によって分解されて自然に還る「生分解性プラスチック」と呼ばれる材料です。
当社は、岩手大学と共同で、廃棄されるワカメやコンブなどの海藻を使った生分解性プラスチックの研究開発を進めています。岩手大学の山田美和准教授が、ワカメやコンブの主成分であるアルギン酸をエサとして与えると、体内でプラスチック成分を生み出す微生物を発見。共同研究を通じて、この微生物からプラスチック成分を抽出し、食品包装などに応用できるフィルムをつくることに成功しました。
国内で年間約5万トンのワカメが収穫されていますが、加工時の未利用部分は収穫量の約60%にもなるとの報告もあります。また、日本以外の国ではそもそも海藻を食べる文化があまりないうえ、気候変動で海藻が異常繁殖しており、その廃棄が大きな課題となっていました。
私たちは、生分解性プラスチックのフィルム製品などへの実用性を検討しながら、社会課題である海洋プラスチックごみ問題、海洋廃棄物問題の解決に取り組んでいます。また、この生分解性プラスチックは、環境に負担をかけずに廃棄できるため、カーボンニュートラルにもつながっています。一日も早い実用化・商業化を目指して、これからも私たちは研究開発を進めていきます。