誰もが明るく楽しく働ける職場を目指して

聴覚障がいを持つ社員との意思伝達を促すオリジナル手話

猿投工場の縫製工程では、2017年に2人の聴覚障がいを持つ社員を迎えました。当時、朝礼・昼礼の際、職長は口頭で伝達事項を伝え、それを班長が社員に書いて伝えていました。しかし、職長や班長は正しく内容が伝わっているか不安に思い、社員側も、例え伝えられた内容が十分わからなくても、やり取りに時間がかかることに気を遣ってしまって内容を確かめにくい、という声が上がっていました。そんな課題を解決するため、現在は、大きなモニターを使用して朝礼を実施しており、視覚で得られる情報を増やすことで、情報伝達の精度向上に努めています。

大きなモニターを使用して朝礼を実施
大きなモニターを使用して朝礼を実施

縫製工程では、不具合箇所を発見した際には速やかに作業を止め、手直しをする担当者に不具合を伝え修正してもらう必要があります。生産を長時間止めないために、不具合をいかに素早く、正確に伝えるかが課題です。オリジナル手話を取り入れるまでは、筆談で不具合を伝え合っていましたが、時間がかかり、お互いの意図が正確に伝わっているか分かりにくいという課題がありました。

もともと、職場の仲間は、聴覚障がいを持つ同僚ともコミュニケーションをとりたいという思いから、「おはよう」や「ありがとう」といった簡単な手話は覚えていました。そこからヒントを得て、縫製の不具合である「シワ」「つまみ縫い」などの専門用語を表すオリジナル手話を考案。それぞれの観点から、どうすれば、素早く、正確に伝えられるか、議論を重ねて決定しました。

聴覚障がいを持つ同僚ともコミュニケーションをとりたい

いきいきと働く先輩を見て、安心して入社

猿投工場の縫製工程では、オリジナル手話を通して、簡単・スムーズにコミュニケーションがとれるようになりました。さらにこの「共通語」によって、本当に伝わっているのかわからないといった不安も解消。仕事中のコミュニケーションが活性化されたため、筆談やスマートフォンを使える休憩時間は、さらに密なコミュニケーションが図れるようになるという副次的な効果もありました。

このような取り組みが、被服科コースを持つ近隣のろう学校に伝わり、実習に来てくれる学生も増えました。実習を3週間行った後、本人の希望により1年後に入社することとなります。2022年7月時点では、これまでに実習を経験した学生全員が当社に入社しました。

日常生活での困った!がないように

例えば地震などの災害発生時に、工場内に緊急放送が流れることがあります。すぐに避難が必要な場合は、当然、周囲の人が声を掛けますが、声を掛けられない場合や、緊急放送の音声だけでは聴覚障がいを持つ社員には何が起こったのか、すぐにはわかりません。これを解消するために、職場の入口やトイレ付近、防火扉などに緊急時に光るライトを設置しました。点灯していれば、今は非常事態で、次に何か行動をしなくてはならないということが分かります。防火訓練でも、職場全体で聴覚障がいを持つ社員を意識して動くという訓練をしています。

刈谷工場の検査工程に、どんな事態が発生したか、次にどんな行動をとるべきか、目で見てわかるようにしたLED掲示板を設置
刈谷工場の検査工程に、どんな事態が発生したか、次にどんな行動をとるべきか、目で見てわかるようにしたLED掲示板を設置

短時間勤務者の働きやすさを向上

また、豊橋工場には、短時間勤務者が働きやすい工夫を凝らした「なのはな工程」があります。なのはな工程では少量車種のドアトリムを生産しています。他の一般的な当社のラインとは異なり、一定の在庫を持てること、部品の組付けを一人で完結できる工程にしたことから、子どもの体調不良などによる急な欠員にも対応できます。通常のラインでは、自分が休んだり早退してしまうと、同僚が代わりに作業に入らなければならないため、周りを気にして休めなかったり、早退することをためらったりする社員もいましたが、なのはな工程では「お互いさま」という気持ちから、必要以上に気を遣わずにいられるようになりました。また、社員の子どもが通う保育園や小学校の年間行事予定や、保育園や小学校から緊急連絡があった際のフローチャートを見える化。一人で抱え込まず、社員みんながお互いの状況を把握できるようにしています。

これからも、多様性を受容し、さまざまな工夫で誰もが働きやすい職場をつくっていきます。

無機質になりがちな工場内の天井の骨組みや機械のフレームを黄色に塗った明るい「なのはな工程」
無機質になりがちな工場内の天井の骨組みや機械のフレームを黄色に塗った明るい「なのはな工程」

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