ものづくりで、「自動車は環境に悪い」を覆す
自動車は環境に悪い?いったいどうして?
自動車は環境に悪い。これは多くの人の共通認識です。残念ながら、現時点では事実と言わざるを得ません。では、どうして自動車は環境に悪いのでしょうか。その答えは自動車の排気ガスにあります。二酸化炭素や一酸化炭素などの有害物質が、自動車内でガソリンや軽油などの燃料が燃えることにより排出されます。これらの物質が、大気汚染や地球温暖化などのさまざまな環境問題を引き起こすために、「自動車は環境に悪い」と言われてしまうのです。
そこまでわかっていながら、この状況を放っておいていいわけがありません。世界各国では、自動車の排出ガス低減を図るべく、排気ガスに含まれる有害物質の規定値を定め、年々これを強化しています。
環境負荷を減らすために、私たちができること
もちろん、自動車メーカーや私たちのような自動車部品メーカーも、自動車が社会に与える影響を自覚したうえで、環境負荷を減らすよう日々製品開発に取り組んでいます。「自動車は環境に悪い」と言いましたが、実は「現在主流の」という但し書き付きです。みなさんは水素や電気で走る自動車を知っていますか。
燃料電池自動車は搭載した燃料電池内で水素と酸素を化学反応させて発電した電気で、電気自動車は予め蓄電池に充電した電気で、モーターを回して走ります。いずれも、現在主流のエンジン車のように燃料を燃やさないため、「環境に悪い」の原因である有害物質の排出がほぼゼロ、すなわちゼロエミッションなのです。2035年ごろには、世の中の半分以上の車がこの「ゼロエミッション車」になるのではないかと言われています。私たちは、このような自動車用の製品づくりを通じて、社会全体の環境負荷低減に取り組んでいます。
燃料電池自動車「MIRAI」への採用
2020年12月にフルモデルチェンジして発売されたトヨタの燃料電池自動車「MIRAI」には、私たちの製品が多数採用されています。例えば、「PM2.5高効率除去エアクリーナーフィルター」。これは燃料電池に必要な酸素を取り込む際、大気中の汚染物質を取り除くための部品です。汚染物質の除去効率は世界トップレベル。トヨタ自動車(株)の新概念である走れば走るほど空気をキレイにする「マイナスエミッション」の実現にも寄与しています。
他にも、燃料電池内の水素の微細な流路を形成する板状部品「燃料電池スタック用セパレーター」や、太陽光による遠赤外線を反射することで車内エアコンの負荷を低減する「遠赤外線反射天井」、燃料電池自動車ならではの車内設計を考慮したシートなど、燃料電池自動車の特性に合わせてつくった製品が使われています。
「100年に一度の大変革期」と言われている自動車業界。私たちが今まで当たり前だと思っていた自動車を取り巻く環境は、大きく変わろうとしています。そんな中でも、私たちは100年以上の歴史の中で培ってきた技術力を生かして、時代のニーズに合ったものづくりを続けていきます。 搭載製品に関する情報はこちら