技術開発

自動運転の進展にともない、車室空間の快適性と安全性を追求

自動運転技術の実用化

昨今、自動運転技術の実用化が進んでいます。米国自動車技術者協会(SAE)は、自動運転レベルをレベル0~レベル5の6段階に分類しており、国土交通省でもこのレベル分けを採用しています。
自動運転レベル1は、運転支援システムとして広く採用されており、車載センサーやカメラを駆使してドライバーに対する警告を行うなど、アシスト機能を提供しています。自動運転レベル2は、部分的な自動運転技術として多くの自動車メーカーが採用しており、特定の状況で車両のステアリングとアクセルを制御できることにより、安全性と快適性の向上に貢献しています。レベル1、2ともに、ADAS(先進運転支援システム)という位置づけです。自動運転レベル3は、条件付きで自動運転を実現しており、高速道路の一部の状況で運転を手放すことができることから、ドライバーの負担軽減に貢献しています。
自動運転レベル4(特定条件下における完全自動運転)とレベル5(完全自動運転)は、2024年時点で国内ではまだ実用化されていません。しかし、今後これらの実用化が進んでいけば、車室空間での「非運転アクティビティ」がよりいっそう求められるようになると考えられます。

自動運転レベル

さまざまなアプローチで、
非運転アクティビティを追求

当社は、より快適で安全性の高い車室空間を提供するために、さまざまなアプローチを行っています。

1)リラックス & セーフティシート

完全自動運転に向けて需要が見込まれる、安楽姿勢や睡眠姿勢をとれるシートの開発に取り組んでいます。さまざまな条件での効果測定や分析を行うとともにシート構造を検討することで、乗員に対する快適性と衝突エネルギー軽減を両立し、より自由な車室空間の実現を目指しています。

リラックス & セーフティシート
リラックス & セーフティシート

人とくるまのテクノロジー展2023横浜 に出展

関連情報

JAPAN MOBILITYSHOW 2023

2)眠気抑制システム

当社は、ドライバーの疲労状態の推定や眠気を抑制するシステムを搭載したIoTシートカバーを開発しました。疲労状態推定システムは、シートカバーに内蔵したセンサーで心拍間隔を推定することにより、ドライバーが座るだけで疲労状態を推定することができます。眠気抑制システムは、車室内の専用カメラでドライバーの目や頭の動きを感知し、推定した眠気レベルに合わせ、シートカバーが振動したり音楽が流れたりします。スマートフォンアプリと連動することで、走行中の疲労状態推定結果や眠気推定結果をリアルタイムに運行管理者へ通知することができます。
2022年から運送事業者向けにシステムの実証実験を行い、トラック運転者にとって眠気や疲労を生じにくい走行ルートや休憩を取るタイミングなどを解析するとともに、システム全体の効果検証と改善を進めてきました。蓄積したデータをもとに、今後、よりいっそうドライバーの負荷軽減と安全・安心な走行に貢献していきます。

眠気抑制システム
眠気抑制システム
眠気抑制システム

人とくるまのテクノロジー展2022横浜 に出展

3)ライドアトラクション用バス車両
「MOOX on FCバス」

「MaaS(Mobility as a Service)」の普及に向けて、車両での移動時間にさまざまなサービスをつなげて付加価値を提供するライドアトラクション用バス車両「MOOX(ムークス)on FCバス」を開発しました。
「MOOX on FCバス」には、AR(拡張現実)によるゲームやライブを配信する透明ディスプレイを車窓に搭載し、映像に合わせて座席が振動したり香りが広がったりする機能を備えました。AR映像は走行位置や乗客のジェスチャーに合わせて変化し、インタラクティブな体験を提供しています。これは、車両の位置情報に合わせてコンテンツや情報をリアルタイムに配信する、当社の制御技術を生かしたもの。さらに、ビジネスやエンターテイメントなど多様なサービスでの空間利用を想定し、シートと内装アイテムの脱着交換機能「テイラードスペースシステム」を開発しました。アフターマーケットも視野に入れ、シートや内装の交換による収益化を想定しています。
2022年2月に、愛知県の愛・地球博記念公園で「MOOX on FCバス」の実証実験を実施。2023年には、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」で移動型エンタメ体験バス「MOOX-RIDE」を発表しました。

関連情報

ニュースリリース:トヨタ紡織、ライドアトラクション用バス車両「MOOX on FCバス」で新しい移動体験の実証実験(車室空間体験実証)に参画

JAPAN MOBILITYSHOW 2023

東京フューチャーツアーへの出展

MOOXの技術を活用したシステム開発

「MOOX on FCバス」では、属性に合わせたサービスやコンテンツを提供するために、乗客の行動を可視化するシステムを実装しています。そして、この技術開発の一環で、自動車以外の用途に利用できるシステムも開発しました。
開発したシステムは、施設に設置した複数のセンサーやカメラで収集したデータを複合的に処理し、施設利用者の行動や属性等を可視化するもの。これを用いて、中部国際空港株式会社に属性データなどのサービス提供を開始しました。空港内に設置されたWi-Fiパケットセンサー、人数カウントセンサー、顔認識カメラを活用した属性推定センサーから取得したデータを複合的に処理し、来場者の行動、来場目的、滞在時間、エリア別利用割合、人数、性別、年齢、感情等の属性を可視化します。この取り組みは、中部国際空港株式会社、名古屋大学、株式会社豊田中央研究所とともに空港内における商業利用の機会向上、満足度向上の施策につなげる目的でスタート。実証実験を経て本運用を開始し、現在は有償のサービスとして利用されています。
こうしたサービス提供を通じて技術の高度化を図り、将来のモビリティーでの利用につなげていきます。

技術ロードマップ

わたしたちは『世界中のお客様へ感動を織りなす移動空間の未来を創造する』をVISIONとし、その実現に向けて技術ロードマップを策定しています。
技術ロードマップはお客様のニーズや社会的要請を満たした当社が提供する製品を示し、会社が掲げるビジョンから製品、それを構成する要素部品、要素技術まで、繋がりを持った開発の方向性を示しています。
私たちが実現すべき3つの空間とそれを支える2つの必須技術を定義し、必要とされる製品・技術アイテムを創出し、お客様ニーズやトレンドに沿って開発を推進しています。
こうしたアプローチにより、市場ニーズに合致した製品をタイミングよくお客様に提供します。

技術ロードマップ

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