たくさんの人の思いが生み出すもの

ものづくりの裏側にある思い

私たちのものづくりには、いつもたくさんの人が関わっています。例えば、2020年12月にフルモデルチェンジして発売されたトヨタの燃料電池自動車「MIRAI」。私たちが新開発した燃料電池自動車ならではの部品がたくさん採用されています。そんなMIRAI搭載部品の開発の裏側にある、開発者たちの思いを紹介します。

みなさんは、燃料電池自動車がエネルギーを生む仕組みをご存じですか。燃料電池が発電するためには水素と酸素が必要です。水素は水素ステーションで補給、酸素は空気中から取り込まなければいけません。と言っても空気中には有害物質も多く、そのまま使うことはできません。そこで活躍するのがエアクリーナーです。

今回、エアクリーナーの開発では、搭載されるフィルターの精度を高めることに注力。従来の粉塵除去フィルターに帯電機能を付与し、PM2.5という細かな粒子を高確率で除去します。さらに、特殊な吸着剤を塗布したケミカルフィルターを採用することで、PM2.5生成主要因3物質(SO2、NO2、NH3)の除去を可能にし、PM2.5の発生を抑制しました。新しい吸着剤を使用する場合、他の材料にどのような影響を及ぼすのか、懸念事項を漏れなく洗い出さねばなりません。そこで、開発段階からお客さま、仕入先、材料の専門家、品質担当者が集まって意見を出し合いました。工場にも何度も足を運び改善を繰り返しました。そしてついに、懸念点をすべてクリアし、従来の通気性能を損なわずに世界トップレベルの高効率除去が可能な「PM2.5高効率除去エアクリーナーフィルター」の開発に成功。トヨタの新概念である走れば走るほど空気をキレイにする「マイナスエミッション」の実現につながる製品をつくることができました。

PM2.5高効率除去エアクリーナーフィルターの開発者
PM2.5高効率除去エアクリーナーフィルター

向き合うことで実現した、高い生産性

水素と酸素を反応させ、発電した電力をエネルギーとする燃料電池車。その発電装置には、チタン製の板状部品であるセパレーターが330枚も搭載されています。セパレーターの表面には流路と呼ばれる細かな溝が成形されていて、ここを酸素や水素、冷却水が通ります。実は、薄い板に通り道となる細かな溝をつくるのはとても難しい技術が必要で、従来の高い製品精度と外観品質は維持したまま、カーボンニュートラルを実現する燃料電池車の普及に貢献するため、さらなる高速生産を目指したMIRAI搭載の「燃料電池スタック用セパレーター」の開発は困難を極めました。

高速生産実現のためには、材料の特性を掴み、水素と酸素がより反応しやすい微細な流路の成形を安定生産できる高い技術力が必要です。自動車用シートのリクライニング機構に用いる当社独自の高精度・高速プレス加工技術と金型技術を応用することで、セパレーターの新たなプレス工法を開発。従来よりも薄い板により複雑で緻密な流路をつくることができました。材料開発の工程からお客さまと一緒になって検討し、生産工程でも試作段階から関係部署が一丸となって取り組んだことで、流路成形工程を大幅に短縮することに成功し、高速生産を可能にしました。

セパレーター開発者
MIRAIセパレーター
MIRAIセパレーター

部品ひとつにも、きっと誰かの思いがつまっている。

みなさんの目に触れる部分、「内装」にも私たちの思いがつまっています。例えば天井には、「遠赤外線反射天井」が採用されています。夏季、日射によりルーフパネルが加熱されることで放射される遠赤外線(輻射熱)を天井裏面の反射層で反射することによって車室内へ熱が入ることを抑制し、エアコンの負担軽減による実燃費の低減に貢献しています。上記のような赤外線反射技術は、これまでずっと私たちが開発・提案を進めてきたものでした。材料開発や工法開発のトライ&エラーを何度も繰り返し、高い反射率と絶縁性を両立できる製品を生み出すことができました。今後はMIRAIだけではなく、ほかの車種へも展開し、環境負荷低減に貢献できるよう、さらなる開発を進めていきます。

遠赤外線反射天井開発者
遠赤外線反射天井の構造
遠赤外線反射天井の構造

シートにも、燃料電池自動車ならではの工夫がされています。実は、後席周辺には、燃料電池自動車固有の水素タンクや駆動用バッテリーが存在するため、他の自動車よりも限られたスペースで質感・機能性が高いシートを開発する必要があるのです。社内で何度も燃料電池自動車シートパッドやフレーム形状の検討を重ねたことで、燃料電池自動車のスペースに合わせつつ、高い性能を持つシートを完成させることができました。このように、私たちの製品にはどれもたくさんの人の思いや工夫、努力があって完成しています。これからも私たちは、一つひとつの製品と向き合いながら、新しい価値を生み出す製品開発を続けていきます。

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