工場に咲く桜の花は、コミュニケーションの証

桜満開活動で職場に活気を取り戻せ!

2016年頃、豊橋工場製造部シート製造課は、生産が不安定な状況が続き、社内外から職場が暗い、活気がない、笑顔がないといった意見が出るまでになっていました。ストレスチェックの結果からも高ストレス状態にあることがわかるなど、課題が山積みでした。

この状態を打破すべく、豊橋工場ではまず現状分析を開始しました。そこでわかったのは、圧倒的なコミュニケーション不足ということ。班長・職長以上のリーダーに余裕がなく、メンバーが悩みを抱えていても打ち明けづらい。悩みを抱えたつらい状態のままで作業をするとミスが増え、製品の不良につながる。製品不良が出るとリーダーはさらに余裕がなくなる……という負のスパイラルができあがってしまっていたのです。

職場に活気を取り戻すため、社外の取り組みなども参考に始まったのが「桜満開活動」です。桜満開活動とは、直接言えない悩みごとを持った社員が、工場内に設置した手づくりの「木」に、「つぼみ」に見立てた付箋に悩みを書いて貼り、その上に、班長が解決策を書いた「桜の花」に見立てたピンクの付箋を貼っていくというものです。どんな内容を書いてもよく、リーダーは記入された内容を否定せず、メンバーと向き合うことを徹底しました。

桜満開活動で職場に活気を取り戻せ

悩みを受け止める側のケアも大切に

当初は課単位で1本の桜から始まった取り組みも、徐々に本数が増えていきました。つまり現場にはそれだけの悩みや困りごとがあったということ。次第に回答する班長の負担が大きくなり、さらに、班長だけでは解決できない種類の困りごとも増えてきました。そこで、班長主体の活動から職長主体の活動に移行。さらに、班長や職長だけでは解決できない困りごとは、課長、部長、工場長など上層部を巻き込むことに。月に1回「お花見会」と題した職長・課長クラスでの共有会も開催し、職長が抱えている課題をそこで吸い上げるようにしたのです。

さらに、桜満開活動だけではなく、職長がメンバーの作業状況をチェックしヒアリングする「面倒見活動」も開始。職長がメンバーひとりの作業を1時間かけて観察し、気付いた点をもとにメンバーと面談をするというものです。普段、当たり前だと思って実施していた作業が実は負担になっていたなど、さまざまなことに改めて気付く機会となり、それをメンバーと職長が一緒になって改善することで、チーム内、そして工場内のコミュニケーションが活性化されていきました。

目指せ千本桜!コロナ禍の新たな課題を乗り越えて

2020年からは、新型コロナウイルス感染症に関する悩みごとが増えました。面倒見活動の中では、面談がマスクやパーティション越しのため、メンバーの表情が読み取れないといった悩みも職長から上がってきました。そこで、声のトーンや大きさなどに注視するなど、日々工夫を積み重ねています。

シート製造課から始まった桜満開活動も、現在は、豊橋工場全体の取り組みにまで広がり、社員満足度(いきいきKPI)も順調に向上しています。これからも活動を推進し、1本/年ではなく、2本、そして10本と増やして千本桜を目指します。
また、他工場にも、このような取り組みを横展開し、いきいき働くことができる職場を現場からつくっていきます。

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