気候変動対策と食品ロス対策に挑む ――
バイオガス発電
地球温暖化防止に貢献するバイオガス発電を導入
気候変動問題は、地球規模での社会課題であり、温室効果ガス排出量の削減、化石原料使用量の削減は企業の果たすべき使命です。当社グループでは「2050年環境ビジョン」を策定し、持続可能な地球環境を目指して対策を進めています。目標の一つに2050年にCO2排出量ゼロにチャレンジを掲げており、その一環として、2022年1月、猿投工場にバイオガス発電設備を導入しました。
バイオガス発電とは、食品廃棄物(生ごみ)を原料とした発電方法です。メタン菌と呼ばれる微生物の力を利用して食品廃棄物を分解することで、バイオガスを発生させます。得られたバイオガスを利用してエネルギー(電気や熱)を創り出します。
猿投工場バイオガス発電設備の仕組み
バイオガス発電は、太陽光発電や風力発電と同様に、再生可能エネルギーを活用した発電方法として注目が集まっており、自治体や企業で導入が増えています。
導入のきっかけは若手中心のプロジェクトチームの発案。
食品リサイクル率100%化に向けて活動推進
バイオガス発電を導入した猿投工場では、約5,500人が働いており、生ごみや食べ残しが出ます。このフードロスをなくそうと、バイオガス発電を提案したのは、若手を中心としたプロジェクトチームでした。フードロスによる無駄をなくすこと、また、廃棄されていた生ごみを新たなエネルギーに換えることは、環境負荷低減につながり、社会への責任を果たすことであるという熱意のもと上層部を説得し、設備導入にこぎつけました。
バイオガス発電で作られた電気は、フォークリフトの充電などに使用し、工場内のCO2排出量低減に貢献しています。バイオガス発電の効果はそれだけではありません。プロジェクトチームは、バイオガス発電で発生する「消化液」に注目しました。発酵の過程では、ガスのほかに消化液が発生します。この消化液は植物の成長に有効な成分を含むため、液体肥料(液肥)としての活用が可能なのです。
県内の大学の協力で消化液の詳細な分析を行い、有害成分が含まれていないことを確認。2022年春ごろから、近隣農家へ液肥の無償提供を始め、ホウレンソウやブロッコリーなどの栽培に利用されています。液肥を活用して栽培された野菜は猿投工場の社員食堂に提供され、調理されています。こうして、食品リサイクルを促進しています。
液肥利用による食品リサイクル率100%化を実現
たしかな手応え。循環型の社会づくりに向けて、さらなる飛躍を
バイオガス発電導入後、CO2排出量削減と食品ロスの低減に着実に効果が出ています。1年間のバイオガス発電量は、一般家庭約3軒分の消費電力に相当する約7,324kWh。さらに、残飯の焼却処理や運搬によって排出されていたCO2を削減。
さらに、豊橋工場にも設備導入を実施しており、活動の拡充を図っています。